回転木馬(Carousel,1956)
原作はモルナールの『リリオム』。
原作よりも圧倒的に映画の方が良いです。本当に、どうして、どうして、こんなに感動的な脚色ができるのか?! 脚本を担当したオスカー・ハマースタインⅡ世は天才だと思ってしまいます。
私はこれまでに大量の映画を見てきました。それでも、映画を見て、しゃくり上げるほど泣いたことは、本当に少ないのですが、これはその貴重な一本です。
ところで、このタイトルの「回転木馬」には、かなり深い象徴的意味が隠されていると思います。
「回転木馬」は、真に新しい人生を歩もうと決心した時に、そうさせまいとして人間を誘惑するものなのです。
人は、上下に揺れ動く白い馬の背に乗っていさえすれば、居心地の良いきらびやかな世界の中にとどまり続けることができます。
それはある意味で、甘美であるし、楽でもある。だから人は、回転木馬の誘いに抗しきれず、今までいた場所にとどまり、同じところを回り続けようとするわけです。
この回転木馬の誘惑は、人生の至るところに潜んでいます。
例えば、素直になれず、ほんのちょっとの意地を張り続けることによって、あるいは親の悪い生き方を周囲から揶揄され、卑屈になることによって、ますます人生の悪い回転に加速がかかり、抜け出ることができなくなります。
ある意味で、回転木馬の誘惑にのる方が、楽であり甘美なのです。
けれども、その回転から勇気と信念を持って出ようとすることが大切なのだ。たとえ、それが今は暗い道のように見えても、そのまま歩いていけば、黄金の空が見えてくる。だから、自分の足で一歩を踏み出すのだ。
それが、この映画のメッセージです。
ちなみに、この人生の回転のことを、仏教的に解釈すれば、「輪廻(りんね)」ということになると思います。そういう意味で、宗教的にも重要な意味を持つ作品です。
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