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2005/08/10

へるめす通信3

ヘルメスは、生まれたその日に揺りかごから起きあがる。その直後から、大人も真っ青のいたずらが始まる。それは、いたずらというよりも、乱暴といった方がふさわしい。

ヘルメスがどんな乱暴をしたか、その所行を知ると、彼はなんてふてぶてしいのだろうと思う。彼の生まれ持った性格は、おそらく一生直らない。そう思う。

例えば、彼が、母親の胎内から生まれ落ちて真っ先にしたことは何か。

彼は、少しの間、おとなしく揺りかごの中にいたけれども、すぐに跳び起きて、家を出ようと戸口のところまで行く。そこで、這っていた亀を見つけると、

 「これは早々に縁起がよい。」

などと、およそ赤ん坊らしからぬ言葉を吐くや、亀をひっくり返して、まずはその肉にぐさっと小刀を突き立てる。肉をえぐり出す。そして亀の甲羅に弦を張り、竪琴を作るのである。

これがヘルメスの竪琴で、この竪琴を奏でながら、ヘルメスは即興で歌を歌う。その歌も竪琴の音もひどく美しく、見事なもので、かつて聞いたことがないほどのものだったという。

残虐性と芸術性の共存。無垢な赤子の外見で、意図的に悪事を働く矛盾。これがヘルメスの特徴である。
 

だから、こんな美しい竪琴を弾いて美しい歌を歌っていても、ヘルメスが心中、別のことを考えていたのは、不思議なことではない。彼の心を占めていたのは、実は、盗みのことだった。

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