へるめす通信2
「翼の生えたブーツ」を履くヘルメス神は、風采に似合わず、たいへんないたずら者である。
いたずら者というよりは、乱暴者と言った方がふさわしい。
なんたって、母親の胎内から生まれ出たその日に、もういたずらをしているというのだから、いたずらにも程がある。筋金が入っている。
ところで、こんなふうに、いたずらをすることで世界に混乱を引き起こし、結果として、世界に新しい秩序を作ってしまうキャラクターのことを、トリックスターという。だから、もちろんヘルメスもトリックスターである。
そうだとすると、松田聖子嬢もトリックスターといえるのではないだろうか。
その昔、彼女が正統派アイドルだった頃から、もうすでに、いつか彼女が芸能界のトリックスターになると期待されていたのかもしれない。
『赤いスイートピー』の中の「翼の生えたブーツ」という歌詞は、まさにアポロンの予言だったのかもしれない。
なんたって、聖子嬢はその後、フェミニズムその他の議論の中心人物となり、芸能界の既存の秩序をぶち壊すような存在になっていったのだから。
彼女は芸能界のヘルメスなのである。
ちなみに、ヘルメスは、「翼の生えたブーツ」以外に、(私だったら涎の垂れそうな)黄金の杖や、聞くだけで人の心をとろかす竪琴などを持っていて、とてもうらやましい。
いたずら者なのに、何者なのだろうか。



















