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2006/01/05

へるめす通信27

 —(ジョルジュの孫)それじゃ、気を取り直して、フェティシズムの話の続き、いってみよっと。
 興味深いのは、カイン・コンプレックスの場合、カインはアベルとの同一化を望んでいるってことなの。 つまり、一方では、殺意を抱くほど、憎たらしく思っているのに、一方では、そいつになりたいと強く願っているってこと。

 —(村人A)えー、何ですって? なんで殺したいやつと同一化したいんですか? それって、矛盾してません?

 —(ジョルジュの孫)その矛盾が、人間の心のあり方だってことよ。
 だってアベルだけがほめられて、自分は顧みられなかった。だから、カインは、「アベルめ、コンチクショー!!」って思ったわけでしょう。
 要するに、カインは自分も神様からほめられたかったわけよ。アベルみたいになりたかったわけ。
 つまり、カインがアベルに殺意を抱くということ自体、その人になりたい、その人にとって代わりたいって思っていることの現れなのよ。
 
 —(村人A)えー!! 

 —(ジョルジュの孫)エレクトラ・コンプレックスも、エディプス・コンプレックスも、劣等コンプレックスも、そういう点では同じよ。
 憎んでいる相手、嫉妬している相手を、殺したい、やっつけてやりたいと思う一方で、相手と同化したいという欲望から出ているってこと。

 —(村人A)ぶっちゃけていえば、相手に対して、嫉妬と憧憬というような、相反する感情を持っているというわけですね。

 —(ジョルジュの孫)そうそう! そういうのを、両面価値的(ambivalent)な感情というのよ。

 —(村人A)なあんだ、そっかぁ。実はあっしはよく友達から、「お前のこと、殺したいほど嫌っているやつが大勢いるぞ」って言われることが多いんですよ。
 そうか、そうか。みんな、あっしに憧れの感情を抱いていたってわけですね。なーんだ。知らなかったなぁ、もう! もっと早く言ってくれればいいのにねっ。

 —(ジョルジュの孫)それは、ホントのホントに、あなたのことが嫌いなのかも。
 よっく、見極めないと……。

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