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2006年6月の2件の記事

2006/06/27

やっぱり、アステアでしょう!

 ハタチの時に見た映画『パリの恋人』では、可憐なオードリー・ヘップバーンにばかり、目を奪われていた私。
 オードリーの横で躍っていた写真家役の俳優を見て、「なんだ、このおっさんは? 全然冴えない! 髪の毛が薄い! 顔がコワイ! なんでこれでオードリーの相手役なんだ??? 他におらんのか!」と、きっぱり思っていました。ですから、オードリーと彼が絡むたび、何度もちゃぶ台をひっくり返そうとしたのです……(なかったけど)。
 ところが、このお方がダンスの神様、天下のフレッド・アステアだと気づくのに、何年(いやさ何十年?)かかったことか……。
 
 とにかく、ここ数年、あまりにもアステアの作品を見すぎたせいか、舞台を含めて他の人のダンスに関して、ついついアステアと比較してしまい、小うるさくなってしまいました。軽い、優雅、正確、スタミナと遊び心がある。エンターテイメントの極地だなあと感心します。
 例えば、アステアがシド・チャリースと競演した『絹の靴下』。このダンス・シーンも圧巻でした。

 ちなみに、この作品にはミュージカルではない通常のバージョンがありまして、そちらは『ニノチカ』というタイトルです。主演はグレタ・ガルボ(松任谷由実氏のペンネームである呉田軽穂は、グレタ・ガルボのもじりだそうです)。いまだご覧になっていない方は、ガルボ版とミュージカル版とを見比べてみても面白いと思います。

 しかし、毎度毎度思うのは、たいへんな才能を持つ人々が一堂に会して作り上げられたのが、ミュージカル作品であるということです。なんといっても、顔良し、スタイル良し、ダンス良し、演技良し、歌良し、挙げ句の果てにピアノなどの楽器が弾けるというような、スーパースターが集まっている! しかも、その人達が昼夜を問わず努力を積み重ねている。
 アメリカのエンターテイメント精神の恐ろしさ、すさまじさを痛感してしまいます。 

 ところで、アステアについて、昔の見解を180度変え、髪の毛の薄さも顔のコワさも全くといっていいほど気にならなくなった私なのですが、ある時、その見方が一瞬にしてぐらつく場面に遭遇しました。

 その場面とは?  

(To be continued. ただし、いつになることやら)
 

2006/06/26

舞台『億萬長者夫人』は一見の価値あり

 前にも書きましたが、昨年から今年にかけて、かなりの数の映画と舞台を見ています。
 昨年は映画づけの一年と言ってもよく、一年で300本以上見、見て良かったと思える映画にたくさん出会いました。
 その中でも比較的楽しい映画、感動する映画を中心に、その一部をこのブログ上でも紹介しています。

 一方、昨年の後半から山口昌男先生とご一緒に舞台を見る機会が増え、自分の趣味以外の舞台を鑑賞することが多くなりました。
 先生のおかげかもしれませんが、今年は本当に、終演後に「良い舞台を見たなー」とつくづく感じるのです。
 
 つい最近、三百人劇場で舞台『億萬長者夫人』を見て(これは山口先生とご一緒ではなかったのですが)、またもや「この舞台はいい舞台だなあ」と感じ入りました。
 劇団昴の役者さんたちは演技が上手で、いつも大いに活躍していただきたいなあと思うほど。
 その中でも、今回はなんといっても主役の一柳みるさんがすごい。億萬長者にして美人、しかも空手四段、けれども口が減らないという役どころを演じきっています。
 億萬長者夫人の夫役の田中正彦さんも、いつも見る役柄と全然違う雰囲気でびっくり。私はご本人をある劇場のロビーで間近にお見かけしたことがあるのですが、普段の田中さんはとてつもなくかっこよかったのに、この舞台では。。。。。ほんとに役者さんなんだなあ、と思いました。

 それから、やはり脚本がすさまじい。福田恆存氏の脚本は、あいまいな箇所でストップせずに、現代において、英雄のような生き方を徹底するとどうなるかという問題を、ニーチェとD.H.ロレンスを下敷きにして、えぐり出している。そんなことを私は考えました。ただし、この戯曲には、「バーナード・ショーによる」という副題がついているのですが。

 つまり、大衆と大衆社会に対する批判の戯曲で、ブレヒトの戯曲とは対極に位置するものと思います。
 また、福田氏の戯曲は、言葉と言葉を闘わせることによって、ある状況が孕んでいる問題性を浮き彫りにします。その状況に右往左往してしまう登場人物の様子があまりにも滑稽なので、観客は、そこに一種の喜劇性を感じるという仕掛けになっています。
 この手法は、私が以前に見た筒井康隆氏の戯曲『三月ウサギ』に通じているという感想を持ちました。

 ちなみに、この『三月ウサギ』の初演も劇団昴(演出:樋口昌弘氏)で、主人公は『躍る大捜査線』で有名な北村総一朗氏だったようです。
 この戯曲を見ると、「筒井康隆って、とてつもなくすごい才能だ!」と納得してしまいます。また『三月ウサギ』の舞台を見ると、榎本健一(エノケン)が昔歌った「月光値千金」の曲が頭を離れなくなります。ああ、この時の舞台、見たかったなあ。。。

 『億萬長者夫人』では、観客一人一人が答えを迫られているように感じるのですが、福田氏は男性ではなく、美貌の億萬長者夫人という「女性」を英雄的な主人公に描いているところが面白いです。
 舞台は7月2日まで続いていますので、興味のある方はご覧ください。
 
 

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