ジャズ・シンガー(The Jazz Singer, 1927)
記念すべきトーキー(音声の出る映画)第一回作品。
主演は、当時のボードビル(大衆娯楽演芸)の大スター、アル・ジョルスン。
ジョルスンの歌と前後のセリフだけがトーキーなのですが、とにもかくにもジョルスンの歌がすごい!
とくに、最後の「マイ・マミー」は感動の一言。
初めてのトーキーを見に行って、こんなのを聞かされたら、みんな、ジョルスンのファンになってしまうに違いない!
かく言う私もその一人(もちろんビデオで見たのですが)。本当に興奮します。
私が『ジャズ・シンガー』に出会ったのは、『ジョルスン物語』(1946)・『ジョルスン再び歌う』(1949)を見たからです。この二本を見ると、『ジャズ・シンガー』がジョルスンの自伝的映画であることがよくわかります。
ところで、第一線を退いた後、ほとんど引退状態にあったジョルスンが年をとってから再び大ブレイクしたのは、この『ジョルスン物語』という映画の大ヒットの影響があったようです。
『ジョルスン物語』の主演はラリー・パークス。
彼は若き日のジョルスンを非常によく演じていますが、映画の中の歌だけは、年をとったジョルスン自身が歌っています。
その歌声が若い頃と比べて、全然衰えていないのに驚きます。
『ジョルスン物語』の中で、ジョルスンを再びスターダムに押し上げようとするプロデューサーが、「彼の歌にはハートがある」とつぶやくシーンがあるのですが、まさに「そう、そう、そうなのよー!!」という感じ。
『ジョルスン物語』も『ジョルスン再び歌う』も良い作品なので、興味のある方は『ジャズ・シンガー』とご一緒にどうぞ。
ちなみに、MGMミュージカルの代表作『巴里のアメリカ人』で流れる曲や、『ラプソディー・イン・ブルー』等でおなじみのジョージ・ガーシュウィン。
まだ若かった彼を見出したのもアル・ジョルスンだったと、ガーシュウィンの自伝的映画『アメリカ交響楽』の中ではなっています。ジョルスンも、この映画に本人役でちらっと出演しています。
そういえば、ガーシュウィンの名曲「スワニー」も、ジョルスンの持ち歌です。
ところで、『ザッツ・エンターテインメント3』によれば、映画制作者たちはトーキーに何をのせるか非常に内容に困り、ボードビルのショーを映画化したとのこと。
つまり、トーキー用に考え出された全く新しい内容というものを用意せず、ボードビルという、馴染み深い、ある意味でよく知られたもので、間に合わせたわけです。
けれども、マクルーハンが『メディア論』の中で指摘するように、古い内容であっても、新しいメディアにのせると、人々は新しい世界を経験するというのは、とても面白いことだと思います。
もう一点、内容について言えば、ジョルスンはそもそもユダヤ教のラビの家系に生まれたのですが、その職をある意味、捨て去り、ショーの世界に生きる決心をします。
ここに、アメリカのユダヤ人社会におけるジェネレーション・ギャップ(世代の断絶)を読み取ることも、可能だと思います。
« スクーリングとユンケルの効果 | トップページ | アヴァンギャルドなキハチ監督 »
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- 【増刷のお知らせ】『神々を知ればもっと面白い! ギリシャ神話の教科書』(ナツメ社刊)、9刷となりました~!!(2026.04.13)
- 3/28(土)10:00- オンライン公開講座に登壇します!(2026.03.26)
- 2026年 謹賀新年(2026.01.02)
- 【増刷のお知らせ】『神々を知ればもっと面白い! ギリシャ神話の教科書』(ナツメ社)(2025.08.08)
- 酷暑の一コマ(『誹風 柳多留(はいふう やなぎだる)』じたて)(2025.07.02)



















