へるめす通信34
—(ジョルジュの孫)まあね。裁判員制度もそうだけど、
子供はみんなやってるよね。
あなたもその昔、誓ったことがあるんじゃない?。
—(村人A)へ? いつ?
—(ジョルジュの孫)ほら、運動会の時の選手宣誓ってやつ。
「わたくしたち選手一同は、スポーツマン・シップにのっとり、
正々堂々と戦うことを誓います!」って言ってるよね。
—(村人A)そうだ! あっしも昔やりましたよ、選手宣誓。
(村人A、遠くを見つめ、呟く。)
いやあ、こう見えてもあっしは足が速かったんですよ。
なんたって、100メートルを12杪で走ったんですよォ。
いやあ、懐かしいなあ……。
そうだな、風に乗るっていう感じ、わかります?
あっしが走ると、こう風がぴゅーっと吹くんですよ。
いやいや、風を切り裂くっていうのかな?
あの興奮はたまりませんね。
そこへもってきて、いつもは照れくさくって、
あっしに思いを打ち明けられない女の子も、
運動会となると、みんなの前で公然と応援できますからね。
「村人Aーーー!!!」って、まあすごいのなんの。
黄色い歓声って言うでしょう。まさに、あれですよ。
しっかし、ホントに声って黄色いんだな。
他のクラスの内気でかわいい女子だって、
自分のクラスの選手を応援しないで、
あっしを呼ぶんですよ。
彼女の髪はサラサラと流れ落ち、
うっすらと頬を染め、
目はキラキラと輝き、
一心不乱にあっしの名を呼んでるんです。
そこで、あっしの足はますます速く、
あっしの顔はますます、りりしくなっていくんですよ。
あー、懐かしいな、もう!!
—(ジョルジュの孫)なーに、ぶつぶつ言ってんの?
あなたのおめでたくも、どえらい勘違い、
誰も聞いちゃいないんだけど。
だいたい、あんた、必死に走ってて、
なんであんたを呼んでるのが他のクラスの女子だって、
わかるわけ?
しかも、内気でかわいくて、目がキラキラ、
髪の毛がサラサラしてるって?
いつ見たのよ?
その声、誰かのイタズラじゃないの?
あるいは、前もって、あんた、
自分で吹き込んだテープを仕掛けといたとか??
—(村人A)なっ! あっしがもてて、何が悪いんですか!
—(ジョルジュの孫)いやあ、
たで食う虫も好き好きっていうか……。
まあ、いいわ。
あのね、宣誓の経験があるのは、
あなた一人じゃないわよ。
春夏の甲子園でも、高校生球児の代表が毎回、毎回、
誓っとるわい!
問題はね、あなた、その昔、宣誓をした時に、
一体誰に誓ったかってことよ。
で、あなた、誰に誓ったのよ?
—(村人A)えー? いや、そのォ、強いて言えば、
その場にいた先生たちかな?
宣誓、先生に捧ぐ。なんちって。
—(ジョルジュの孫)あのね。。。



















