マンガ・アニメの現在
今日は、山口昌男先生とご一緒に、有楽町マリオン11階にある朝日ホールに出かけました。
国際日本文化研究センター開催のシンポジウムを聞きに行ったのです。
小松和彦先生からお誘いを受けた山口先生が、一緒に行こうと言ってくださったのでした。
テーマは「世界に広がる日本のポップカルチャー マンガ・アニメを中心として」。
実は、私自身、今、ある仕事の関係で、現代の日本のアニメを集中的に見ています。そこで、心ひそかに期待して参りました。
講演者は、マンガ・コラムニストの夏目房之介氏と、京都精華大学マンガ学部准教授のマット・ソーン氏でした。
ちなみに、夏目氏は、ご存じの方も多いと思いますが、夏目漱石のお孫さんです。
とくに興味深かったのは、マット・ソーン氏が話された現在のアメリカにおける日本のマンガの翻訳事情。
例えば、一時期のアメリカでは、手塚治虫の『鉄腕アトム』や『宇宙戦艦ヤマト』、さらには『Akira』や『となりのトトロ』などが人気を集めていたそうです。
が、それらのアニメの日本的なシーンは、カットされていたとのこと。
また、当初、翻訳マンガは、アメリカの若者に日本のマンガを読んでもらおうとして、アメリカ式に左から右へと読めるように、シーンを逆に変えていたということです。
日本のマンガは、セリフが縦書きのため、右から左に読むように描かれていますが、英語はその反対に左から右に文が書かれます。
その違いを克服しようとしたのですね。
なるほど。
ところが、『ポケモン(ポケットモンスター)』や『ドラゴンボール』、『美少女戦士セーラームーン』などのアニメが大ヒットします。
その頃になると、次第に、日本の原作通りにマンガを読みたいという、アメリカの読者が出てくるようになったということです。
そして、「日本」的な要素を隠さず、逆に強調したり、右から左へと進んでいくマンガが主流になったらしいのです。
そういえば、私が関係している東京大学の研究室に来ていた外国人研究員の方が、あるとき、『美少女戦士セーラームーン』を美学の見地から言及していました。
その時は、なんでセーラームーン? と思ったのですが、まさかアメリカで大ヒットしていたとは!
さらには、今まさに、日本のアニメはピークを過ぎようとしている、ということでした。
2000年の頃に比べると、現在、海外でのアニメ作品の販売数は、半分に減ってしまったらしいのです。代わりに、今、韓国アニメが輸出されているとのこと。
とすれば、『冬のソナタ』現象のように、日本にも、もうすぐ韓流アニメの全盛期が来るかもしれないですね。
ところで!
講演会の後に討論があったのですが、日本のアニメ・マンガがアメリカやアジアで流行する理由について、討論者の意見が分かれたのです。
ちなみに、討論者は四人で、それぞれ中国、タイ、アメリカ、フランスのご出身。
それでどういうふうに意見が分かれたのかというと、アメリカやフランスといった西欧出身の討論者の方々は、日本のアニメ・マンガの普遍性を理由に挙げ、
中国やタイといったアジアの討論者は、日本の個別性・固有性(要するに日本らしさ)を理由に挙げていたのです。
これは簡単に片が付く問題ではありませんが、神話学的にも非常に興味をそそる問題だと思いました。
というのは、アニメやマンガと同じように、全世界的に流行している日本のRPGの背景には、ある神話体系が潜んでいるのですね。詳しくは言いませんけれども。
しかも、私が講談社の編集者の方に伺ったところ、マンガ家がストーリーに困ると、担当の編集者は神話を読めと言って勧めるらしいのです。
つまり、日本のアニメやマンガ、さらには今回のシンポジウムでは触れられていなかったRPGが、なぜ全世界的に流行したのか。
それを考察しようとすると、おそらく神話学の見地も必要になってくるだろうというのが、私の感想です。
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