« 2008年12月 | トップページ | 2009年2月 »

2009年1月の4件の記事

2009/01/28

自己実現のための勉強法(5)―「がーっと」語学勉強法編

今日は、自己実現のための勉強法の5回め。

当初、2、3回で終わろうと思っていたのですが、なんとなく書いていると、まだまだこんなのもあるぞー!という具合に、自分の中の引き出しから、ぽろぽろとアイディアが出てくるようになりました。もう少し続く予定ですので、おつきあいいただければと思います。

さて、前回、締め切り日にまでに、興味を持った人物の本をまとめて「がーっと読む」という山口昌男先生の読書法を御紹介したのですが、今日は、外国語勉強法。

実は、山口先生の外国語学習法も、この「がーっと読み」と同じなのです。

つまり、何月何日に、どこかの国に行くということになったら、その時までにその国の言葉をがーっと勉強するというわけです。ですから、程度の差はあると思いますが、訪れた国の数だけ、外国語を学ぶということになるのです。

そして、山口先生の恐ろしいのは、外国に行ったら、外国の古本屋に行き、単語などほとんどわからないという段階でも、本を買ってきてしまう。どうも、本の方から、「おいで、おいで」をしてくるらしいのですね。

ちなみに、山口先生の奥様・ふさ子夫人のお話によれば、買ってきた当初は読めなかったはずのその本に、いつの間にか、線が引かれているとのこと。

おおっ! ヾ(℃゜)々

要するに、これは読まなければならないと思った本は、それがどんな外国語で書かれていようとも、とにかく読む!

その時、私たちは普通、文法などを完璧に勉強してから、本を読むべきだと思ってしまうわけですが、どうもそうではないようです。

これについては、エンゲルスが書いている自身の外国語学習法が参考になるかもしれません。

エンゲルスのやり方は、文法は勉強せず、その外国語で書かれた古典作家の本を、辞書を引きながら読んでいく、というもの。ただし、名詞活用と動詞活用と代名詞は一応勉強してから、という限定つきではありますが。

ですからエンゲルスは、たとえば、イタリア語はダンテなどから、スペイン語ならセルバンテスなどから、ロシア語ならプーシキンから、いきなり読み始めたといいます。

ちなみに、このエンゲルスのエピソードが載っている緒方靖夫氏の著書(『楽しくつきあう外国語』新日本新書)に書かれている緒方氏自身の語学勉強法もすごいですし、この本には、元共産党委員長の不破哲三氏が6カ国語以上に通じていたなど、興味深いエピソードが満載です。

そして、この「がーっと」外国語学習法は、戦後日本を代表する知識人・清水幾太郎も、それからジャーナリスト・東谷暁氏も、そして学魔・高山宏先生も同じ。以下の本を読むと、それがわかります。

清水幾太郎『本はどう読むか』講談社現代新書

清水幾太郎『私の読書と人生』講談社学術文庫

東谷暁『困ったときの情報整理』文春新書

高山宏『ブック・カーニヴァル』自由國民社

みなさん、多忙にもかかわらず、しっかりと原書を読んでいるのですね。当たり前といえば、当たり前なのですが、勉強法に党派は関係ないということでしょう。

ここで、週刊英和新聞・朝日ウイークリーの元・国際本部副本部長などをなさっていた、高橋茅香子氏の『英語となかよくなれる本』(文春文庫)の中の一節を引用します。

どうしたら英語の文章を読めるようになるんでしょうとよくたずねられるが、答えはただひとつ。ひたすら読むこと。それじゃあ身もふたもない、と思わないでほしい。これはほんとにほんとのことなのだから。大切なのは、自分の興味にしたがって、好きなものを読むことだ。(p47)

語学をものにした人たちに共通しているのは、とにかくあきらめずに、最後までなんとか読み通せ、という実践的外国語学習法のようです。

最後に、国際政治学者の猪口邦子氏が、小学生時代から実行していたという勉強法をご紹介しましょう。御尊父の仕事の関係で10歳から15歳までブラジルのサンパウロで過ごす事となった猪口氏は、そこで全ての授業が英語で進められるアメリカンスクールに、自らの希望で入る事になります。

よく、留学すればすぐに語学が出来るようになると思われているのですが、簡単な日常会話のやり取りぐらいならともかく、それ以上の語学力を身に付けようとすると、そう簡単にはいかないようです。例えば、私の教え子の中に、高校時代、アメリカに一年間交換留学で滞在した学生がいました。けれども、単に留学しただけでは語学が身につかなかったらしく、彼はいつも「英語が出来るようになりたい」と溜息をもらしながら語っていました。

さて、少女時代の猪口氏の具体的な勉強法ですが、十歳の彼女は、先ず、半年後には英語で対応できるようになるという目標を立てます。そしてその上で次のような語学学習法を猛烈に実践していきました。

まず単語帳方式で単語を覚えるところから始める。小さなノートの左側に英語を書き、右側に日本語を書く。教科書に出てくるわからない単語を片っ端から書いて単語帳をつくるのだ。

最初はほとんどすべてがわからない単語なのだから、単語帳は教科書をそのまま書き写しているようなものだった。それをつかって日本語を見ながら英語を発音する、スペルを書くということをひたすらやる。一ヶ月もするとその単語帳は一〇冊を越えた。それをいつも最初からめくり、発音し、書く。

たとえば最初にappleがあるとしたら、何回かやるうちに覚えてしまうのだが、それでも 必ず最初からすでに覚えた単語も繰り返し練習する。もう頭で覚えるのではなく、書きながら腕の筋肉に覚えさせるという感じ。1日に単語帳何冊とノルマを決めて必ず実行する。

アメリカンスクールは、スクールバスの送り迎えがあった。その道中には必ず、この単語帳を抱えて乗り、見て覚えるようにしていた。何百、何千の単語についてそれをやっていると、半年を過ぎるころから、かなりの単語が頭に入ってきた。単語がわかると、どうにか意志を通じ合わすことができる。文章ごとの暗記もよくしたので、単語を入れ替えながら話せるようになり、私もこの社会でやっていけるという自信がついた。(中略)

覚えなくてもいいような単語まで覚えるよりは、よく使われるものを覚えたほうがいいのではないかとか、一度覚えた単語まで何度も繰り返すなんて、なんと非効率的な勉強の仕方かと思われるかもしれないが、わたしは遠回りのようでも、このやり方が一番、単純明快で語学上達の秘訣のように思う。(中略)

あとは教科書の文章を何度も読む、音読する。アメリカ史や地理の教科書は何度も読み、重要なフレーズを暗記していった。何度も読むと文章ごと覚えてしまう。覚えたことはあまり考えずにすぐ言うことができる。当たり前のことなのだが、この重要性に気づいたのだ。(中略)今でも私は面白いフレーズや単語を見つけると、ノートにメモし、繰り返し覚えるという方法をとっている。猪口邦子『くにこism』西村書店、p44-47、適宜改行を行った。)

この単語帳を作って暗記したり、文章を何度も音読したり、フレーズを暗記するという勉強法は、国弘正雄氏、村松増美氏、蟹瀬誠一氏など多くの語学の達人が推奨する勉強法です。しかし、小学生の時に、自発的に目標設定を行い、そこから進んで、こんな勉強法を考え実行するとは本当に驚きます そして現在でもこのやり方を続けていらっしゃるのですね。現在、衆議院議員をなさっている猪口氏ですが、彼女の軍縮会議(ジュネーブ)議長をはじめとする国際政治での活躍の下地は意外なところにあったようです。

2009/01/15

自己実現のための勉強法(4)―山口昌男の勉強法編

今日は、自己実現のための勉強法の4回め。なんと、山口昌男先生の勉強法について、です。

山口先生の周囲にはこれまでたくさんの人が集まってきていて、山口先生について、いろいろな方がいろいろなことを書いています。

博覧強記とか、フットワークが軽いとか、本の虫だとか。林達夫にいたっては、「半世紀に一人出るか出ないかの天才」と称しています。

ですが、山口先生がどのようにして、博覧強記と言われるまでになったのか、その勉強法について書いている方は、私が知る限り、ほとんどいないように思います。みなさん、「要するに、本をたくさん読んでいるんでしょう」という認識なのです。

いえ、もちろん、本をたくさん読んでいることに、間違いはないのです。

ですが、どういう時にどういう本を読んでいるか。山口先生は舞台や美術、音楽などの鑑賞を頻繁におこなっていますが、それと知の形成はどういう関係にあるのか。さらには、人と会う機会をたくさん作られているのですが、それは知の形成とどういう関係にあるのか。

私なら、そういうことが知りたいのに、これらをずばりと書いている記事を見たことがありません。

そして、御本人も直接的かつ明示的に書いていません。なぜかというと、先生は、自覚的な勉強法というようなものを、あまり意識しておらず、前回のエントリーで書いたような、ルーティン・ワークをこなすという発想そのものを持ち合わせていないのです。

山口先生の場合、勉強法やルーティンをこなすといった表現よりも、生き方といった方が適切かもしれません。あれをやらなくちゃ、これをやらなくちゃ、という、どこかしら強制力が働いている性質のものではなくて、そう生きている。

だから、先生にとって、知は、本能のおもむくままに形成されている、と言っていいと思います。

こういう具合なので、山口先生の勉強法は、ご自身でもおそらく、体系的な説明はおできにならないのではなかろうかと、推測されますので、私のような第三者が、その目から見た様子を書くことにも、意味があるだろうと思った次第です。

(実は、これ、かつてある知人の編集者に企画をもちかけたことがあるのですが、どうもその方、興味がなかったらしく、立ち話程度で終わってしまいました。だけど、今、ちまたで勉強法の本がすごく流行っているので、私からすると、あの時、出版されていればなぁと、すんごく惜しいのですが、どうでしょう???)

さて、前置きはこのくらいにして、本題に入ります。

まず、博覧強記と言われる知性がどのように形成されたか。

ここから述べてみたいと思いますが、私の見たところ、先生は、人に会う機会を利用して、本を読み、知識を蓄えているようです。

どういうことか、もっと詳しく言いますと、たとえば、こういうことです。

まず、ある人の本を読み、それがとても面白いと思ったら、すぐさま電話ないしはFAX でその人に会う手はずを整え、実際に会って話をする機会を作ります。

そして、その人に会うことが決まったなら、その日までに、その人が書いた他の重要な本(あるいは雑誌記事)をがーっと、とにかく読みまくる。徹夜してでも、読み通す。そして、その人がどういう考えなのか熟知してから、面会をし、本人に直接、質問したりするというわけです。

昨年のことですが、私が自宅にいた時、山口先生から電話がかかってきました。内容は、「市村弘正氏が面白い」というものでした。

いったいなぜ市村先生の名前が出てきたのか、よーくお話を伺うと、まず先生は、2008年6月28日から8月31日まで、北海道立文学館で開かれた、吉増剛造展に行くために、吉増氏の著書を読み直していたようなのです。

ところが、そのさなか、吉増氏と市村先生が対談した『この時代の縁で』を読み、興味を感じた市村先生の本を今度はがーっと読み直し、「市村弘正が面白いのを、あなたと分かち合おうと思って」、電話をくださったという次第なのです。

つまり、その人に会う日を決め、その期日までに、できるかぎりの本を読むわけです。そうすると、次のような良いことがあります。

(1)面会日(これは要するに締め切り日)までに、自分が面白いと思っている人の本を読むため、いつか読もうと思って結局読まない、積ん読(つんどく)本がなくなる。

(2)ある著者の本をまとめて読むことによって、その人の考えを体系的に知ることが出来る。

(3)本を読んでから会うと、本の中で書かれている自明の事柄についての質問をしない(=つまり、すでに書いてあることを改めて質問しない)ため、より突っ込んだ内容を聞くことができ、充実した会談になる。

こんなふうに述べると簡単そうですが、できそうでいて、実行に移すのはなかなか難しい知の形成方法です。

たとえば、自分がなんとなく日頃から興味を持っていた人物が、どこかで学会発表する、講演をする、テレビに出る、といった機会に恵まれることがあると思います。その場合、その人の本を、学会発表の日、講演の日、テレビ出演の日(あるいは時間)までにがーっと読むということをするのです。

しかも、この他に、原稿書きや仕事の準備、書類書きを含めた日常の雑事、電話といった「緊急かつ大切なルーティン」があるわけですが、そちらも当然こなしつつ、空いた時間に、この「締め切り日までのがーっと読み」を積み上げているわけです。

しかも、山口先生がすごいのは、この会いたい人が外国人だった場合、外国語の本も時には一晩で読み、面会に備えているということです。

このやり方ならば、人と面会する機会が増え、人の輪が広がって行けば行くほど、知識もぐんぐん増えていくということになるわけです。

2009/01/11

自己実現のための勉強法(3)―ルーティン・ワーク編

自己実現のための勉強法の3回目。本日は、ルーティン・ワーク編です。

ルーティン・ワークとは何かというと、自分の目標を達成するために、日々こなさなければならない自分だけの課題のこと。

この課題をいかに設定し、いかにこなすかで、本当に自分の目標が達成できるかどうかが決まります。毎日、毎日、いろいろなところから押し寄せてくる雑務を、片っ端から力ずくで片付けていけば目標が達成できるかと言えば、そうではないのです。

毎日、やらなければならないことなんて、わかりきっている。だから、いちいち書く必要なんてないじゃないか。そもそも面倒くさいし……。

と私も思っていました。ですが、一度、実際に書いて実行してみてください。効果は抜群です!

では、どのようにしてルーティン・ワークを設定するのかということですが、ここで参考になるのが、ワタミ株式会社社長の渡邉美樹氏の『夢に日付を! ~夢実現の手帳術~』に書かれている、仕事の四分類の話です。

渡邉氏によれば、すべての仕事は次の四つに分類できると言います。

(1)緊急で大切なこと。
(2)緊急だけど大切じゃないこと。
(3)緊急じゃないけど大切なこと。
(4)緊急じゃなく、大切でもないこと。

さて、この中で、最も重要でないのは何かというと、もちろん「(4)緊急じゃなく、大切でもないこと」であると渡邉氏は言います。ですから、たとえば見たくもないテレビをだらだら見るなんてことは、少しでも省くべきだ、と。

では、次に、この中で最も重要なのは何かという問題ですが、普通、私たちは、「(1)緊急で大切なこと」だと思うわけです。けれども、渡邉氏の答えはそうでなく、「(3)緊急じゃないけど大切なこと」なのです。

なぜか。私たちは、普通、日々の生活の中で、「(1)緊急で大切なこと」をできるだけ早く済ませようと努力します。やらなければ自分の信用が落ちる、なんてこともあるわけで、そうなれば実際、自分が困ることになるからです。

ですが、これだけだと現状を維持するのみ。そして現状維持ということは、すなわち、マイナスの状態がゼロに 戻っただけなので、もし、自分が今よりも高い目標を持ち、それをなんとか叶えたいと望んでいるのであるならば、現状を維持するだけではダメだということになります。

そうすると、現状を打破したいと思っている人は、現状を維持する仕事(緊急で大切な仕事)に加えて、自分の目標達成に必要なプラスアルファの何かをこなす必要がある、ということになるわけです。

つまり、私たちの目標の実現にとって最も重要なのは、「(3)緊急じゃないけど大切なこと」であり、それを日々の課題として、きちんとこなしていくことなのだ、と渡邉氏は主張しているわけです。

実は、これと同様のことは、ブライアン・トレーシーも『頭がいい人・悪い人の仕事術』(アスコム)の 中で述べています。トレーシーは、高校中退後、肉体労働を経て、サラリーマンになり、現在さまざまな企業のコンサルタントをしているアメリカの億万長者な のですが、彼は急ぐ仕事と重要な仕事を分けて考えるべきだとし、「急ぐ仕事が必ずしも重要な仕事ではない」ことを認識すべきだと述べています。

そして、渡邉氏と同じ事をトレーシーも書いていて、「重要だが急ぎではない課題」に焦点を当てるべきだと言うのです。「急ぎで重要な仕事」ばかりを やっていると、短期の仕事しかできない。長期にわたる仕事をこなすには「重要だが急ぎではない課題」を日々こなしていかなければならない、と。

実は、渡邉氏やトレーシーが述べている「緊急じゃないけど大切なこと」の重視については、私も思い当たることがあります。というより、私が長らく感 じてきて、明確な言葉にならなかったことが、彼らの「緊急じゃないけど大切なこと」を重要視せよという言葉で、やっと形になったという気がしています。

当ブログによくおいでくださっている方ならご存じだと思いますが、私はここ数年、文化人類学者の山口昌男先生のそばで先生が本を読んでいる姿を間近で見、舞台や美術館を見に行ったり、学会や書店に行ったりするときに足の悪い先生の介添え役としてお伴をしてきました。

その私が観察したところ、山口先生の日常はまさに「緊急じゃないけど大切なこと」で埋まっているということを発見したのです!

2009/01/01

あけまして、おめでとうございます2009

あけまして、おめでとうございます。

2009年もいよいよ始まりました。

今年の私の元旦の気分は、……コレ! ということで、今、John Rutter の “All Things Bright And Beautiful”がかかっております。

(ご興味のある方、彼のCDをAmazonで一部試聴できます。こちらから飛んで、Listen to Samples の7をクリックしてください。)

今年一年のみなさまの御健康と御多幸をお祈り申し上げます。

今年も「東ゆみこのウェブサイト」をよろしくお願いいたします。
(=゚ω゚)ノ o(_ _)oペコッ

« 2008年12月 | トップページ | 2009年2月 »

Amazon

無料ブログはココログ