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2009年7月の5件の記事

2009/07/28

津田新吾さんの訃報

元・青土社の編集者・津田新吾さんが亡くなられました。

思えば、私は津田さんにはたいへんお世話になりました。

『現代思想』に掲載した私の論文を読み、「これを本にしませんか」と誘ってくださり、最初の本『クソマルの神話学』を作ってくださったのも、津田さん。

また、私の本を、私の知らないところで、山口昌男先生に送ってくださったのも津田さん。

津田さんが送ってくださった拙著を山口先生が読まれて、「著者に会いたい」と電話をかけてきてくださったのがきっかけで、私は山口先生のお宅に出入りするようになったのでした。

6年前のこと。締切をかなり過ぎて、津田さんからそれこそ矢のような催促を受けて、必死になって書き上げた最初の本の原稿を、津田さんにメールで送付したところ、3週間ほど、梨のつぶて。

どうしたのか、あまりにも原稿が遅くなったので、津田さんは怒ってしまったのかと心配になっていた時、津田さんから連絡があり、神保町のさぼうる という喫茶店でお会いしました。

いつもと違って、ぼーっとしている様子だったので、「どうかしたのですか?」と伺ったところ、「実は……」と切り出されたのは、彼が長い間、悪性リンパ腫を患っていて、この3週間その治療をしていたというお話だったのです。

先の見えない病気と闘っている姿、また健康体の人間でも非常にきつい、書籍の編集という仕事を、そんな大病を患いながら頑張っている姿に、たいへん感銘を受けたことを思い出します。

津田さん、長い間お疲れ様でした。安らかにお眠り下さい。

2009/07/15

『本が好き!』が届きました

Hongasuki20098本日、私のエッセイが掲載されている、光文社のPR誌『本が好き!』2009年8月号が届きました。

驚いたことが2つ。

まず第一に、PR誌編集部編集長の秋吉潮さんから、たいへん丁寧な手書きのお手紙をいただきました。びっくりすることに、秋吉さんは執筆陣には極力手書きの手紙を同封していらっしゃるとのこと。

編集の仕事は私が知るだけでも、とてつもなくお忙しいはずなのですが、「みなさん、すごいなー」と、思わず頭が下がってしまうようなことをよく経験します。

二つめに驚いたこと。

この『本が好き!』は光文社のPR誌で、140頁ほどのページ数で、一冊100円というたいへんお安いお値段なのですが、執筆者と内容が非常に充実しているということ。

これはかなり(というより相当)お買い得という気がします。文学にご興味のある方は、一度手にとられてみてはいかがでしょうか。

2009/07/11

「イチゴ畑」のお知らせ

前にも少し書きましたが、7月10日発売の光文社のPR誌『本が好き!』2009年8月号(通巻38号)にエッセイを寄稿しています。

統一テーマのもと、4人の執筆者がそれぞれエッセイを書く、という「テーマエッセイ」の欄があるのですが、今回のテーマは「ふるさとは遠きにありて」というもので、4人の執筆陣のうちの1人が私です。

ちなみに、執筆者ですが、私の他に、豊島ミホさん、水無田気流さん、大道珠貴さんという方々です。

私のタイトルは「イチゴ畑」

実は、私のもとにまだ雑誌が送られてきていないので、画像をブログに貼ることができないのですが、雑誌はもう出ているようですので、お知らせいたします。

もしご興味があれば、お読みいただければ幸いです

m(_ _)m

2009/07/10

大著! 『フェルディナン・ド・ソシュール』(互盛央著)

Tagai

昨日、『思想』編集長の互盛央(たがい もりお)さんより、『フェルディナン・ド・ソシュール <言語学>の孤独、「一般言語学」の夢』(作品社)を、有り難くもお送りいただきました。

こう書きますと、まるで互さんが仕事で編集されたご本のようですが、なんと、この本、互さんご自身が書かれたもの  Σ(゚□゚(゚□゚*)

互さんは、岩波書店に勤務するかたわら、修士課程に入り、10年かけて博士論文を書き、博士号を取得され、このたびの御著書の出版となったとのことです。

心より、お祝いを申し上げます。

いただいたご本は、とにかく大著。本文だけで553ページ(しかも2段組!)。厚さ約4cm。

ちなみに、私の処女作『クソマルの神話学』は本文240ページ。もちろん段組なし(゚▽゚*)。厚さ2cm。互さんの約半分(上げ底換算にて)。

さて、この本ですが、過去に自分が執筆した論文を、たんに寄せ集めて捏ね上げたものでは決してありません。また大量の先行研究を、消化不良のまま単に並列しているだけの著作でもありません。

互さんは、様々な領域の研究成果を自家薬籠中の物にして、独自の文体で執筆されています。しかも、これこそまさに学際的な研究だと言える内容です。

本の構成を簡単に述べますと、ソシュールの<言語学>が生み出される個人的・時代的背景を念頭に置いて序章が書かれ、次に「一般言語学」講義の聴講ノートとソシュールが残した草稿にもとづく詳細なテクスト読解が、同時代の文化史的・思想史的な動向を視野に入れつつ行われています。

互さんが序章で描いている、ソシュールが自身の<言語学>を構想しようとする際に対峙していた歴史的・思想的な問題は、神話学や宗教学なども共有していたものだったので、私にとってはその点がたいへん興味深く、また教えられる事が多々ありました。

実は、私、まだ「まえがき」と「序章」しか読んでいないのです
なんてったって、序章だけで89ページ(しかも、しつこいようですが、2段組!)。

加えて、読み飛ばす事のできない、粘り強い思索が展開されているのです。

これは決してお世辞ではなく、例えば、フィヒテやフンボルトやランケなどをもとに考察される、「近代国民国家の逆説」や「歴史」そして「民族精神」の意味、またニーチェの「因果性批判」に関する論述などを読むと、そこには単なる学術論文を越えた、批評性の高い哲学的考察、しかも構造論的視座を有する思索が見られるはずです。

これから本論を読んでいこうと思っているのですが、読み終わるまでにかなり時間がかかりそうなので、とりあえず、天才・ソシュールの〈言語学〉の歴史的な孤軍奮闘を描いた、稀に見る力作を、いち早くみなさまにお知らせしようと思った次第です。

2009/07/04

『アルレッキーノ 二人の主人を一度にもつと』に行ってみた

1_3   昨日、世田谷パブリックシアターで上演されているミラノ・ピッコロ座の『アルレッキーノ—二人の主人を一度にもつと』を見てきました。

この戯曲は、山口昌男先生の名著『道化の民俗学』の冒頭に出てくるもの。この本を大学で講義したこともあって、長らくこの戯曲を見たいと思っていましたが、やっと念願が叶いました。

会場は立ち見が出るほどの大盛況。舞台は、滑稽なのに、最後はなかなか感動的、音楽も効果的で、非常に良かったです。

ところで、主役であるアルレッキーノ役の俳優フェルッチョ・ソレーリさん。舞台を跳んだり、はねたり、右へ左へと、たいへん躍動的だったのですが、アンコールで仮面を外された時に見えた素顔では、頭髪がまっ白でした。

それで、自宅に帰った後に、いったいお年はいくつなのかと気になって調べてみましたら、なんとソレーリさんは御年80歳! そんなお年だとはまったく、ほんとに微塵も気づきませんでした。 すごすぎる w(゚o゚)w

これは見る機会に恵まれて、本当に良かったと思える舞台でした。

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