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2009/07/10

大著! 『フェルディナン・ド・ソシュール』(互盛央著)

Tagai

昨日、『思想』編集長の互盛央(たがい もりお)さんより、『フェルディナン・ド・ソシュール <言語学>の孤独、「一般言語学」の夢』(作品社)を、有り難くもお送りいただきました。

こう書きますと、まるで互さんが仕事で編集されたご本のようですが、なんと、この本、互さんご自身が書かれたもの  Σ(゚□゚(゚□゚*)

互さんは、岩波書店に勤務するかたわら、修士課程に入り、10年かけて博士論文を書き、博士号を取得され、このたびの御著書の出版となったとのことです。

心より、お祝いを申し上げます。

いただいたご本は、とにかく大著。本文だけで553ページ(しかも2段組!)。厚さ約4cm。

ちなみに、私の処女作『クソマルの神話学』は本文240ページ。もちろん段組なし(゚▽゚*)。厚さ2cm。互さんの約半分(上げ底換算にて)。

さて、この本ですが、過去に自分が執筆した論文を、たんに寄せ集めて捏ね上げたものでは決してありません。また大量の先行研究を、消化不良のまま単に並列しているだけの著作でもありません。

互さんは、様々な領域の研究成果を自家薬籠中の物にして、独自の文体で執筆されています。しかも、これこそまさに学際的な研究だと言える内容です。

本の構成を簡単に述べますと、ソシュールの<言語学>が生み出される個人的・時代的背景を念頭に置いて序章が書かれ、次に「一般言語学」講義の聴講ノートとソシュールが残した草稿にもとづく詳細なテクスト読解が、同時代の文化史的・思想史的な動向を視野に入れつつ行われています。

互さんが序章で描いている、ソシュールが自身の<言語学>を構想しようとする際に対峙していた歴史的・思想的な問題は、神話学や宗教学なども共有していたものだったので、私にとってはその点がたいへん興味深く、また教えられる事が多々ありました。

実は、私、まだ「まえがき」と「序章」しか読んでいないのです
なんてったって、序章だけで89ページ(しかも、しつこいようですが、2段組!)。

加えて、読み飛ばす事のできない、粘り強い思索が展開されているのです。

これは決してお世辞ではなく、例えば、フィヒテやフンボルトやランケなどをもとに考察される、「近代国民国家の逆説」や「歴史」そして「民族精神」の意味、またニーチェの「因果性批判」に関する論述などを読むと、そこには単なる学術論文を越えた、批評性の高い哲学的考察、しかも構造論的視座を有する思索が見られるはずです。

これから本論を読んでいこうと思っているのですが、読み終わるまでにかなり時間がかかりそうなので、とりあえず、天才・ソシュールの〈言語学〉の歴史的な孤軍奮闘を描いた、稀に見る力作を、いち早くみなさまにお知らせしようと思った次第です。

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