『分別される生命 二〇世紀社会の医療戦略』
4月に入ってから、3月までの静けさが噓のような慌ただしさ。
研究の分担者として名前を連ねたりしている科学研究費がめでたくいくつか当たって、その書類作りに従事したり。
新年度の授業の準備に意外に手こずったり。
ということで、アップがだいぶ遅れてしまいましたが、生物学史研究会に2月に参加した折に話をさせていただいた慶應義塾大学の鈴木晃仁先生より、編著書『分別される生命 二〇世紀社会の医療戦略』(法政大学出版局)をお送りいただきました。
私は医療史はまったくの門外漢で、学部時代に、疾病地理学の講義を受講したぐらいで、医療史というと、ミシェル・フーコーの『臨床医学の誕生』や、映画『アマデウス』や『カリガリ博士』『カッコーの巣の上で』等の中で描かれている精神病院の様子などを想起するくらいのものだったので、この本はたいへん勉強になりました。
今回いただいたご本を読み、振り返って考えてみると、「医療行為」というものは、今まで見過ごしてきたけれども、なかなか興味深い対象だということに気づいたのです。
日本神話、たとえば『日本書紀』には、地上である葦原中国(あしはらのなかつくに)の国作りをする、オホクニヌシとスクナヒコナという大小のデコボコ・コンビの神々が、人間と家畜のために病気を治療する方法を定めたと書いてあるのですね。
つまり病気への対処、現代でいうところの「健康」の問題というのは、古い時代から扱われているわけで、ある意味で普遍的なテーマだと言えます。しかも、「国作り」と関係する!
医療と「国」の問題は古くからあり、しかも密接な関連を持っているということなのかもしれません。
ところで、本の画像をクリックして拡大するとわかりますが、表紙の絵がなかなか面白いのです。これは、ロンドンで発行されていた週刊誌の特派員が、神戸のコレラ流行の模様を描いたものだそうです。貴重な資料だと思いますので、是非とも御覧ください。
また、鈴木晃仁先生はブログも書かれています。ほぼ毎日、読書日記等を精力的に更新されていて、私の日々のひそかな励みになっております。ご興味のある方はこちらからどうぞ。
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