ロールズ『正議論』刊行!
同僚の福間聡(ふくま さとし)さんが、以前から何かの本の翻訳をしているというのは、小耳にはさんでいました。それが、先日、ジョン・ロールズの『正義論』(紀伊國屋書店)であることを知って、思わず、「お〜!」と叫んでしまいました。
そしてありがたくも、本日その御本を頂戴致しました。(訳者は、福間聡さんの他にお二人いて、川本隆史氏と神島裕子氏です。)
ところで、ロールズの『正義論』といえば、私にとっては、ちょっとした思い出があります。
大学院在学中の頃ですから、かなり以前のことになりますが、井上達夫氏の『共生の作法 会話としての正義』(創文社)を眺めて、なるほどと思ったところから話は始まります。
その時、私は、早速、ハーバード大学の(今をときめく)マイケル・サンデル教授の『リベラリズムと正義の限界』(山嶺書房)と一緒に、ロールズの翻訳を買おうと思いたったのでした。
ところが、ロールズの方は古書価格のあまりの高さと、ひそかに噂になっていた翻訳の問題で、購入を断念。
原書で読むしかないと決意して買ってはみたものの、その厚さに怖じ気づき、そのままロールズの本は書庫で熟睡、それ以来ずっと、ロールズの解説の本でお茶を濁していたという代物だったのです。
つまりは、一度は目を通しておきたいと思っていた本だった、ということです。そんなわけで、今回の『正義論』改訂版の出版には、本当に感謝しています。
以前、都留文科大学の講義で、日本の近代文学を、倫理学の共同体論や秩序の問題と関連づけて取り上げたことがあるのですが、その時に参考図書として学生に推薦しようと思ったのが、先のサンデルの本に加えて以下のものでした。
和辻哲郎の『倫理学』と『人間の学としての倫理学』(岩波書店)
アラスデア・マッキンタイアの『美徳なき時代』(みすず書房)
J-P・サルトル『実存主義とは何か』(人文書院)
ですが残念なことに、当時はいずれも品切れという状態。
ところが、このところの倫理学ブームで火がついたのか、時代の要請かは分かりませんが、和辻哲郎の本は二冊とも岩波文庫から出版され、サンデルの『リベラリズムと正義の限界』は、出版社が勁草書房へと変更されて復刊、また『美徳なき時代』も『実存主義とは何か』もネットでで確かめてみたら、増刷されていました。
十数年ほど前、知人が市民講座で、リバタリアンとコミュニタリアンについて言及したところ、参加者の中の一人が、「オバタリアンなら知っている!」と発言し、みんなで大笑いをしたことがあったとのこと。
この頃に比べれば、リバタリアン/コミュニタリアンという言葉も認知され始め、ようやく関連書籍も出そろってきたようです。一度、集中的に関連事項を整理してみようかなと思っているところです。
ちなみに、福間聡さんは、新進気鋭の倫理学の研究者ですが、東京大学グローバルCOE「死生学の展開と組織化」では、各種セミナーの準備の担当で日々大変な忙しさです。
そういった意味でも、今回の翻訳の完成には心より敬意を表したいと思います。また彼はロールズに関する『ロー ルズのカント的構成主義』(勁草書房)という単著も上梓しています。
2010年11月22日(月)には、紀伊國屋サザンシアターで、刊行記念セミナー が開かれるそうです。さらに、2011年2月4日(金)15:00には、東京大学でも、『正義論』の刊行記念シンポジウムが催されます。詳細については、当ブログでも、また紹介いたします。




















