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2012年1月の5件の記事

2012/01/27

真言立川流の秘法

論文執筆のまえには、それに関する資料を自力で徹底的に収集する必要があります。

これは学術活動をおこなう上の基本中の基本で、私も大学の資料調査法の講義で学生にくり返し強調しているところです。

しかし、このやり方にこだわりすぎると、ちょっとした論文に取り組むときにも、膨大な資料が必要となり、論文ごとに文献カードを作成をしたり、それを持って図書館通いをしたり、あるいは他大学に資料の請求をしたり。。。と、かえって身動きがとれなくなり、いつまでたっても論文の執筆に取りかかれなくなったりします。

また、この資料あつめはときとして思いもかけぬ、結果をもたらすこともあります。

最近、平安時代後期に勃興しその後弾圧された、真言立川流(しんごんたちかわりゅう)に興味を持った私。

とりあえず、どのような文献があるのか、例のごとく、まずは資料あつめからと、チベット密教の考え方にも通じ、陰陽道(おんみょうどう)とも関係のある真言宗の一派についての文献をあつめはじめました。

すると、関西大学、そうでなければ、国会図書館か、手近な都内では立川市立図書館にしかない、貴重な書籍があることが分かったのです。しかも、日本の古本屋のサイトでは、高いものでは6000円の値段がついています。

高価なものは、価値があるに違いない。しかも最近の本なのにあまり図書館に入っていないようである。

本の副題にちょっと不安があったのですが、これはとりあえず入手しておこう。そう判断しました。

そこで購入したのが『真言立川流の秘法』

副題は「密教セックス入門」。

送られてきた封書を開封して「む?」(画像はクリックすると、拡大します)

Photo_4

ページをめくっていって、第一章を読みはじめて、「……、やっぱり!」

第三章に絵入りで紹介されている「歓喜体位法」にいたっては、「あいたたた。。。」

立川流が性的な秘儀に重きを置いていることは知っていたのですが、仏教の経典や密教の考え方についての言及はあるとはいえ、完全にやられました。

要するに、この本は、真言立川流版(?)、性愛術の指南書だったのです。

興味のある方も(きっとたくさん)いらっしゃることと思います。せっかくですので、第一章のはじめを抜粋しておきます。私は笑わずにはいられませんでした。

アレを拝もう  あなたの肉体は、誰のものでもない。あなた自身のものだ。まず、自分自身の肉体の一点をながめよう。それは鏡にうつる顔ではない。肉体の中心にある、もっとも肉体的な一点、つまり、性器である。

あなたは、自分の尊い性器をながめることから、新しい人生が開ける。活気あふれた人生とは、日々新たに自己を誕生させることであり、性器はその自己を生み出すところ。人生は性器から始まるといっても過言ではない。性器をながめるのは、自分の人生を見つめることではないだろうか。

今のように手軽に動画が見られなかった時代。この種の本は、必要な人にとっては、たしかに貴重書だったのかもしれません。それから、性愛術の歴史に興味のある人にとっても、重要な本だと思います。

しかし、真言立川流の研究書としては、ちょっと……。かと言って、古本屋に売りに行くのも恥ずかしいので、思い切って断裁・スキャンして、貴重な資料を保存しておくことにしました。

ちなみに、この本の前の所有者は、かなりの勉強家だったらしく、線がところどころに引いてありました。しかも、赤と青の2色を使い分けて。そうまでして、何を研究なさったのでしょうか。 珍書であることは間違いありません!

最後に、著者・歌川大雅(うたがわたいが)について掲載されていた略歴を記しておきます。

1917年、東京に生まれる。

特に記すべき学歴なし。真の勉学は独学にありと信じ、「心眼を開く」ことをそのテーマにしている。

真言宗の寺で得度を受けて、法名「戒玉」となったが、生得の求道自由人である。

『密教秘法』『密教神秘術』『密教錬金術』『密教占命術』など左道密教関係の著書あり。読者から広く支持される。

宗教哲学に造形深く、絵画をよくする。

本書のカバー・本文の絵は著者自身のものである。

2012/01/20

電子書籍の挑発

今日、アップルが、教科書や電子書籍を誰でも簡単につくれてしまうアプリケーションを発表したと聞き、試しに見てみたところ、「これは破壊的!」と感慨にふけってしまいました。

たとえば、iBooks Auther というアプリでは、画像や動画の埋め込まれた電子書籍やデジタル教科書が、自力でとても簡単につくれてしまうのです。しかもダウンロードは無料です

誰でも簡単に作家デビューを果たすことのできる時代の到来! YouTubeで世界的著名人となったジャスティン・ビーバーのような存在が、電子書籍の世界で誕生するかもしれません。

教育という点で考えれば、出来上がったデジタル文書を、教師は学生のiPadに配信することができますし、学生は、教科書を何冊も学校に持ってくる必要がなくなるということになります。

一番ショックだったのは、自作の電子書籍をウェブ上で配信するためのページをアップルが用意しているということ。つまり、出版社や編集者の手をわずらわさなくても、誰でも本を書いて、それを書籍の形に美しく、かつ簡単に整えてくれて、それを配信することが出来るようになったのです。

この予兆は、かなり以前に、電子百科事典がウェブ上の動画とつながっていたり、最近では、ウェブ上の新聞や動画サイトなどで、動画と文字が混淆されていたり、さらに記事の下に、読者が自分の見解を書き込むことによって、相互にやりとりを行っていたところにあったのかもしれません。

ついに書物が総合メディアに変容していく時代、作家と読者の境界線が完全にあいまいになる時代、印刷工や編集者が、かつての人力車引きや電話交換手、無線通信士、映画の弁士、文選工や植字工のように、職業の形態の変化に、アクティブであれパッシブであれ、対処しなければならない時代が到来したということです。

メディアの形態が社会関係を変えていくということから考えると、印刷会社や出版社、さらには作家、読者の関係は、根本的に変更を迫られるだろうと推測されます。

これで、学校教科書の電子書籍化にも、拍車がかかると思われます。そして、電子書籍に慣れ親しんだ若年層は、自分の書いたものをつぎつぎに電子書籍化し、ネット上で公開していくでしょう。

懸念されるのは、著作権侵害。ウェブ上に流布している、著作権の切れていない画像や動画を電子書籍に勝手に流用してしまうことが多発するのではないかということ、しかもあまりの多さにチェックしきれないのではないかということです。

要望をいうならば、日本語校閲機能が充実したソフトの誕生、著作権にひっかからないような形での画像や動画などの提供、定型の電子書籍をより美的かつ独自なものに仕上げてくれるデザイナー、アレンジャーが望まれます。

いずれにせよ、この新しいテクノロジーへの対応のしかたを考えておく必要がありそうです。

そのうち、「理想の書斎」像にも変化が生じてくるかもしれません。おそらくそれは、紙媒体の書籍をぎっしりと詰め込んだ、デン的な書斎ではないように思われるのです。

たとえば、紙媒体の書籍は一切置いておらず、(日本人悲願の)ゆったりとした空間の中で、リクライニングチェアに横たわり、保存用のハードディスクなどから必要なデータをiPadに飛ばしてテクストを読む。そういう書斎という名にふさわしくないような書斎を、みんなが欲しがるような時代になるかもしれません。

2012/01/07

くま! くま!!

思わず、「うひゃあっ」となったクマの動画を2つアップします。かわゆい(*゚ー゚*)

1つめは、バイバイ・ベアー

 

2つめは、子グマのじゃれあい

2012/01/03

やっぱり、天才! ラース・フォン・トリアー

ここ数年のお正月恒例の行事である、授業で使うためのDVD鑑賞をしていたところ、久しぶりに「傑作!」と思える作品に出会い、少々興奮してしまいました。

それは、私が前々から着目していて、当ブログの「外国映画(傑作選)」でも作品を紹介しているラース・フォン・トリアー監督の「アンチクライスト」。

トリアー作品はいつもそうなのですが、映画の出だしはあまり面白くなく、「トリアーもついに終わったかな〜」などと思いながら見ていましたが、見終わってしばし映画に対する分析を積み上げてみると、「やっぱりトリアーは天才だ!」「よっ! 芸術家!」という感じで、圧巻でした。

ちなみに、ネット上でこの映画に対する感想がいくつかあがっていたので読んでみましたが、賛否両論、というより否定派が多いらしいこともわかりました。ウィキペディアによれば、2009年のカンヌ国際映画祭で上映されたところ、審査員団から最低賞が贈られたそうです。

しかし、この映画への反発や嫌悪は、ある意味、当然のこと。というよりも、そうでなくては困ります。だって、この映画のタイトル兼テーマは、「アンチクライスト」=「反ヘブライズム」、ひいては、「反道徳」=「反文化」なのですから。常識に切り込んでいるのに、みんなが納得して拍手を送ってしまったとしたら、作品を創った意味自体がなくなってしまいます。その点、寺山修司にも似ています。

この映画に対する詳しい分析と解釈はここには書きませんが、少なくとも、この映画を読み解くには、ニーチェ、フロイト、ベイトソン、バッハオーフェンetcが必要となりそうです。今のところあてはないのですが、機会と場所があったら、詳しい分析を書きたいなぁと、心の底から思える映画でした。

ということで、みなさんもよろしかったら(かなり凄惨なシーンがありますので、覚悟が必要ですが)、トリアーの「アンチクライスト」をご覧になってみてください。

2012/01/01

あけまして、おめでとうございます

あけまして、おめでとうございます。

2012年のお正月、みなさんはいかがお過ごしですか。

私の住んでいる東京では、午後に地震がありましたが、天気もよく、よいお正月になりました。

さてさて、毎年毎年、「今年こそは!」と誓いを新たにするのは、世の常、人の常、私の常。性懲りもなく、「今年こそは」の思いに燃えております。

「とにかく、長年の懸案だった仕事を、きっぱり、さっぱり、すっきり、片付けた〜い!」

去年は、文章を書く頻度が減ってしまいましたので、このブログも含めて、もう少し書いていきたいなあと思っております。

今年一年のみなさまの御健康と御多幸をお祈りいたします。

本年も、「東ゆみこのウェブサイト」をよろしくお願いいたしますm(_ _)m

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