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2012/01/20

電子書籍の挑発

今日、アップルが、教科書や電子書籍を誰でも簡単につくれてしまうアプリケーションを発表したと聞き、試しに見てみたところ、「これは破壊的!」と感慨にふけってしまいました。

たとえば、iBooks Auther というアプリでは、画像や動画の埋め込まれた電子書籍やデジタル教科書が、自力でとても簡単につくれてしまうのです。しかもダウンロードは無料です

誰でも簡単に作家デビューを果たすことのできる時代の到来! YouTubeで世界的著名人となったジャスティン・ビーバーのような存在が、電子書籍の世界で誕生するかもしれません。

教育という点で考えれば、出来上がったデジタル文書を、教師は学生のiPadに配信することができますし、学生は、教科書を何冊も学校に持ってくる必要がなくなるということになります。

一番ショックだったのは、自作の電子書籍をウェブ上で配信するためのページをアップルが用意しているということ。つまり、出版社や編集者の手をわずらわさなくても、誰でも本を書いて、それを書籍の形に美しく、かつ簡単に整えてくれて、それを配信することが出来るようになったのです。

この予兆は、かなり以前に、電子百科事典がウェブ上の動画とつながっていたり、最近では、ウェブ上の新聞や動画サイトなどで、動画と文字が混淆されていたり、さらに記事の下に、読者が自分の見解を書き込むことによって、相互にやりとりを行っていたところにあったのかもしれません。

ついに書物が総合メディアに変容していく時代、作家と読者の境界線が完全にあいまいになる時代、印刷工や編集者が、かつての人力車引きや電話交換手、無線通信士、映画の弁士、文選工や植字工のように、職業の形態の変化に、アクティブであれパッシブであれ、対処しなければならない時代が到来したということです。

メディアの形態が社会関係を変えていくということから考えると、印刷会社や出版社、さらには作家、読者の関係は、根本的に変更を迫られるだろうと推測されます。

これで、学校教科書の電子書籍化にも、拍車がかかると思われます。そして、電子書籍に慣れ親しんだ若年層は、自分の書いたものをつぎつぎに電子書籍化し、ネット上で公開していくでしょう。

懸念されるのは、著作権侵害。ウェブ上に流布している、著作権の切れていない画像や動画を電子書籍に勝手に流用してしまうことが多発するのではないかということ、しかもあまりの多さにチェックしきれないのではないかということです。

要望をいうならば、日本語校閲機能が充実したソフトの誕生、著作権にひっかからないような形での画像や動画などの提供、定型の電子書籍をより美的かつ独自なものに仕上げてくれるデザイナー、アレンジャーが望まれます。

いずれにせよ、この新しいテクノロジーへの対応のしかたを考えておく必要がありそうです。

そのうち、「理想の書斎」像にも変化が生じてくるかもしれません。おそらくそれは、紙媒体の書籍をぎっしりと詰め込んだ、デン的な書斎ではないように思われるのです。

たとえば、紙媒体の書籍は一切置いておらず、(日本人悲願の)ゆったりとした空間の中で、リクライニングチェアに横たわり、保存用のハードディスクなどから必要なデータをiPadに飛ばしてテクストを読む。そういう書斎という名にふさわしくないような書斎を、みんなが欲しがるような時代になるかもしれません。

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