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2013年6月の5件の記事

2013/06/20

へるめす通信50

—(ジョルジュの孫)アポロンは、ヘルメスに向かって、「キミとキミのお母さんは、神々の間で名声を得るだろう。僕はキミに贈り物をし、そして、絶対にだまさない」って言うのよね。

—(村人A)ワーオ! なんかよくわからないけど、すごそーっすね。

—(ジョルジュの孫)どこがわからんのよ?

—(村人A)エ? うーん、と、そうだなあ、「神々の間で名声を得る」ってところかな。何すか、それ?

—(ジョルジュの孫)要するに、ヘルメスはオリュンポス山に住む12柱の神々、通称「オリュンポス12神」に迎えられたというわけ。

ギリシア神話の中で、神々の住処があったと考えられているのが、オリュンポスという山で、そのてっぺんに最高神ゼウスの宮殿があったと言われているの。

—(村人A)へー、ほー。

—(ジョルジュの孫)このあたりの地理が知りたい場合は、子供向けの本なんだけど、『図解 古代ギリシア』(東京書籍)がとってもよいから、読んでみたら? おすすめよ!

—(村人A)ふむふむ。……、あっしでも読めそう。

—(ジョルジュの孫)そこなのよ。それでいて、中身が濃いのよね。で、話を元に戻すと、ゼウスの宮殿で、神々は饗宴に次ぐ、饗宴の毎日を送っているとみなされているのよね。

—(村人A)毎日! いや、マジで、うらやましい。

—(ジョルジュの孫)毎日は飽きるかもよ。それで、そこにいるのは、ゼウスとその兄弟姉妹だといわれているの。

—(村人A)それが12柱いる、と。ちなみに、誰っすか?

—(ジョルジュの孫)あのね、名前を並べると、つーまんないけど……。いい?

—(村人A)……、わかりやした。覚悟の上だす。

—(ジョルジュの孫)じゃ、いくわよ。ゼウス、ヘラ、ポセイドン、アテナ、アプロディテ、アルテミス、アポロン、そしてヘルメス、さらにはアレス、ヘパイストス、デメテル、ヘスティア(またはディオニュソス)。

こらー、寝るな!!

—(村人A)ハッ! とっても心地良いお経のような趣で、つい……。

—(ジョルジュの孫)あんたの覚悟は、楊枝よりも折れやすいのね。毎度毎度、感心するのは、あんたのその寝付きの良さよ。早すぎる。

—(村人A)にゃは! それほどでも。照れるな。

—(ジョルジュの孫)はあーー。嫌みを言われているのに気づかんのか。。。

—(村人A)わかってますよ。オリュンポス12神に、しっかりアポロンもヘルメスも入っているんでしょ。ブラボーじゃないっすか。

—(ジョルジュの孫)ブラボー、ね。

—(村人A)ブラボーっすよ。そして、アポロンは、ヘルメスに贈り物をあげると約束した。

—(ジョルジュの孫)驚いた。あんた、覚えてたのね。意外に……。

—(村人A)賢い、って言うんでしょ。

2013/06/17

へるめす通信49

—(ジョルジュの孫)で、アポロンは、ヘルメスのひいた竪琴の音色に、すっかりメロメロになっちゃったの。オリュンポスの神々も、音楽をつかさどる九人の女神ムーサたちも、いまだかつて出したことのない音色だ、って言ってね。

—(村人A)へー、そんなにすごい音だったんですか。ヘルメスの竪琴は。

—(ジョルジュの孫)そうみたい。ま、自分ちの洞窟の前をはっていた亀をぐさっと殺(や)って作った、ヘルメル・オリジナルの楽器だもの。聞いたことのない、初めての音色だといわれれば、それはそうよね。

—(村人A)すごーい、ヘルメス。ドクター中松も真っ青!

—(ジョルジュの孫)そっちか、キミの基準は。ふつうはエジソンが出てくるんじゃないの? エジソンは蓄音機を発明しているし。それを初めて聞いた人たちは、アポロン同様、びっくりしたんだといえば、キミの株が急上昇するわけなんだけど?

—(村人A)いえいえ、あっしはドクター中松にこだわりたいですよ。なんたって、ドクター中松は、フライングシューズという名前のぴょんぴょん飛ぶ靴を発明しているじゃないですか。ヘルメスみたいでしょ?

—(ジョルジュの孫)なるほどね! 最近、あんたがヤケに賢く見えてきたわ。きっと、目の錯覚ね。

—(村人A)老眼のはじまりですよ。そろそろ気をつけたほうが……。

—(ジョルジュの孫)シャラーーープ3!!! 誰が老眼じゃい! 縁起でもない。

—(村人A)……ったく、心配してあげるとこれだもんね。まったく損ですよ。ホント、あーたに情けは無用ですっ!

それで、アポロンとヘルメスは仲良しこよしになったのですね。

—(ジョルジュの孫)そうなんだけど、その前に……。

2013/06/13

へるめす通信48

—(ジョルジュの孫)で、ヘルメスは、アポロンをなぐさめるために、自分で作った竪琴をちょびっとだけ、弾いてみせたのよ。

—(村人A)あれ、ま! ケンカしてたんじゃなかったんですかい? ヘルメスってばアポロンにほめられて、気をよくしちゃったわけですね。

—(ジョルジュの孫)うーん、気をよくしたとは、原文に書かれていないので、わからないのよね。

ま、とにかく、竪琴を弾いたら、アポロンはものすごーく悦んで、笑い出したの。それから、ヘルメスは、アポロンの隣で、竪琴を弾きながら、歌をうたうのよ。

そしたら、アポロンは、「そんな音は、はじめて聞いた」ってまたもびっくりするのよね。

—(村人A)歌? うた、ウタ、UTA! ヘルメスが?

—(ジョルジュの孫)そう、ヘルメスが。

—(村人A)えー、なんか、変だなあ。ヘルメスらしくないっていうか。。

—(ジョルジュの孫)どうしてよ?

—(村人A)つまりですよ、歌を歌うことを好む人って、あっしにとっちゃ、なんとなく繊細な感じがするんですよね。

ほら、体育会系と文化会系って分類があるじゃないですか。歌を歌うってことは、まさに文化会系ですよね。

ところが、ヘルメスは赤ん坊なのに力持ちで、牛2頭をたやすく殺してアポロンをびっくりさせたりしているわけでしょ。つまり、体育会系のイメージがあるわけですよ。だから、なんとなく歌を歌うことは共存しないっていうか、……。

つまり、音楽というのは、アポロンみたいな美青年に似合う感じで、ヘルメスのキャラじゃないっていうか……。

—(ジョルジュの孫)なるほどねー、あんたも成長したわね〜。わたしゃ、少し感動しておるよ。なかなか鋭い指摘をするじゃない。やっぱ、この目を見張るような成長っぷりは、教える人が良いからよね〜。 

—(村人A)は? なんですと?

—(ジョルジュの孫)だーかーらー、教える人がエクセレントってこと。

—(村人A)バキっ!!

—(ジョルジュの孫)なに? その、「バキっ!!」ってセリフは?

—(村人A)あっしが固まった音を擬態語として表現してみただけですよ。

……も、疲れたので、先に行っちゃって下さい。

—(ジョルジュの孫)やった! 私は勝った! 勝った!! 勝ったのだ〜!!

といって騒いだのは、日本神話のスサノオなんだけど、ここで、あんたに勝ちを宣言しても大人げない気がするから、先に行くわ。

2013/06/08

山口昌男追悼シンポと一冊の本

昨日、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所主催の、山口昌男追悼シンポジウムに行ってきました。

青木保氏の基調講演のあと、6名の方が15分ずつ発言されたのですが、中でも私が興味深かったのは、落合一泰氏のコメントでした。

落合氏が山口先生と一緒にメキシコのフィールドワークにでかけた時のこと。

そこで出会った古老にその名を聞いて、山口先生は興奮気味に、かばんから古本を取り出したというのです。

それは、ギテラス=ホームズの“Perils of the soul”という本で、その中に、話者として古老マヌエルが登場していたのですが、なんと眼の前にいた老人が、その本の中のマヌエル老人だったのだそうです。

実は、私、この本を、山口先生のご著書で知り、私の最初の本『クソマルの神話学』の中で引用しようと、原著を調査したことがあったのです。

当時、この本は、「かつて東大の文化人類学研究室にあったらしいことがわかっているが、現在は所在不明(***マークが記されていました)」というふうに、Nacsis Webcatに記されていました。

つまり、入手困難な書籍だったのです。

そこで思い切って行ってみたら案外見つかるかもと思い、東大の文化人類学研究室を尋ねてみたところ、当時の助手さんが書庫から、「ありましたよ〜」と出してきてくださったのです。

私はそれを使って、最初の本を書いたのですが、この後、山口先生と知り合いになって、山口先生に、「ギテラス=ホームズの本は貴重書ですよ、先生」と言ったところ、「あの本は、マヌエル老人のサイン入りで、ウチの2階のダンボールの中に入ってる」とこともなげにおっしゃっておいででした。

もしかすると当時、書籍の入力作業が不十分だったのかもしれませんが、あれから10年近くが経ちまして、さきほど調べたところ、日本の大学ではすでに4校がこの本を所蔵していることがわかりました。

そして、東大の文化人類学研究室は、この本を駒場図書館に移管したということもわかりました。

山口先生所蔵の本は今どこにあるのでしょうか? 

うわさによると、札幌大学の山口文庫のデータベース化が進められるかもしれないということです。山口先生の蔵書の全貌がオンライン上で明らかになる日も近い(?)のはうれしいことです。

2013/06/02

サルトル『汚れた手』

昨日(6月1日)、六本木にある俳優座劇場で、劇団昴による公演、ジャン=ポール・サルトル原作の『汚れた手』を見てきました。

サルトルの戯曲を見るのは2回目。最初にサルトルを見たのは、1999年、劇団昴の演劇学校での公演、エウリピデスの『トロイアの女たち』の脚色だったのですが、それが面白かったので、今回も楽しみにしていました。

やはり期待を裏切らない作品、というより期待以上の作品。

政治と道徳、理想と現実、信頼と裏切りというモチーフをちりばめながら、3時間を超える舞台を、ほとんど圧巻のセリフのみで進めていくのですが、これが観客をまったく飽きさせません。

久々におすすめの舞台です。興味のある方はこちらからどうぞ。

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