山口昌男追悼シンポと一冊の本
昨日、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所主催の、山口昌男追悼シンポジウムに行ってきました。
青木保氏の基調講演のあと、6名の方が15分ずつ発言されたのですが、中でも私が興味深かったのは、落合一泰氏のコメントでした。
落合氏が山口先生と一緒にメキシコのフィールドワークにでかけた時のこと。
そこで出会った古老にその名を聞いて、山口先生は興奮気味に、かばんから古本を取り出したというのです。
それは、ギテラス=ホームズの“Perils of the soul”という本で、その中に、話者として古老マヌエルが登場していたのですが、なんと眼の前にいた老人が、その本の中のマヌエル老人だったのだそうです。
実は、私、この本を、山口先生のご著書で知り、私の最初の本『クソマルの神話学』の中で引用しようと、原著を調査したことがあったのです。
当時、この本は、「かつて東大の文化人類学研究室にあったらしいことがわかっているが、現在は所在不明(***マークが記されていました)」というふうに、Nacsis Webcatに記されていました。
つまり、入手困難な書籍だったのです。
そこで思い切って行ってみたら案外見つかるかもと思い、東大の文化人類学研究室を尋ねてみたところ、当時の助手さんが書庫から、「ありましたよ〜」と出してきてくださったのです。
私はそれを使って、最初の本を書いたのですが、この後、山口先生と知り合いになって、山口先生に、「ギテラス=ホームズの本は貴重書ですよ、先生」と言ったところ、「あの本は、マヌエル老人のサイン入りで、ウチの2階のダンボールの中に入ってる」とこともなげにおっしゃっておいででした。
もしかすると当時、書籍の入力作業が不十分だったのかもしれませんが、あれから10年近くが経ちまして、さきほど調べたところ、日本の大学ではすでに4校がこの本を所蔵していることがわかりました。
そして、東大の文化人類学研究室は、この本を駒場図書館に移管したということもわかりました。
山口先生所蔵の本は今どこにあるのでしょうか?
うわさによると、札幌大学の山口文庫のデータベース化が進められるかもしれないということです。山口先生の蔵書の全貌がオンライン上で明らかになる日も近い(?)のはうれしいことです。
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