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2016年7月の5件の記事

2016/07/21

アンドリュー・ロイド = ウェバーのミュージカル

ミュージカル『キャッツ』や『オペラ座の怪人』で有名なアンドリュー・ロイド=ウェバー。

先日、彼のミュージカル『ヨセフと不思議なテクニカラー・ドリームコート』を見てきました。

もとになったストーリーは、『旧約聖書』の「創世記」に出てくるヨセフの物語。

ヨセフは、兄弟の中で最も父親からかわいがられていたので、兄たちに嫉妬されていました。

そのヨセフが、あるとき、兄たちが自分の足下にひざまずく夢を見たと告げます。

夢は未来を予言すると信じられていたので、夢を正しく解釈できる能力は、特殊能力に相当するものだったわけですが、兄たちはただでさえ嫉妬を感じていたヨセフに、この先屈するのかと激しい嫉妬を感じ、ヨセフをエジプトに奴隷として売ってしまうのです。

しかし、ヨセフは、その夢を解釈する特殊能力のために、(「創世記」の中では神がヨセフとともにあったためとされていますが)、ついには次のような、ファラオの夢解きまで行います。

「今から7年間は豊作だが、それから7年間は凶作になる。だから、最初の豊作をたくわえておき、後の凶作に備えなさい。それをとりしきる知恵のある人物を見つけて、国を治めさせなさい。」

そこで、ファラオはヨセフに高い地位と重要な役割を与えて、凶作への対策を行わせます。

すると、ヨセフが解釈したとおりの状況になったため、ヨセフをいじめた兄たちが食糧を求めて、エジプトのヨセフのもとにやってきて、いつか見た夢のように、ヨセフにひざまずいた、という話です。

私にとっては、夢解釈が舞台のテーマになっていることが非常に興味深かったです。

『旧約聖書』の物語でありながら、コメディになっていることも驚きでした。

また、音楽はよかったです。

さすがのアンドリュー・ロイド=ウェバー、というところでしょうか(若干、『キャッツ』に似ているような気がしましたが)。

以下に、ロイド=ウェバーの『メモリー』と『ピエ イエズ』を挙げておきます。

『メモリー』はエレイン・ペイジ、『ピエ イエズ』はアンナ・ネトレプコのヴァージョンでどうぞ。

 

2016/07/14

ピーター・シェーファーの『エクウス(馬)』

ハリー・ポッター役で有名な、ダニエル・ラドクリフが数年前、『エクウス(馬)』という舞台で全裸になったことが話題となりました。

先日、そのダニエル・ラドクリフが出演した戯曲『エクウス(馬)』を、劇団四季の舞台で観てきました。

しかし、鑑賞するかどうかの決め手となったのは、ダニエル・ラドクリフのファンだったからというわけではなくて、映画『アマデウス』を書いたピーター・シェーファーの戯曲だったこと。

『アマデウス』は、私としては、「記憶に残る映画10本」に入れたいと思うほどの名作だったので、シェーファーが他にどんな作品を書いているのか知りたかったのです。

そこで、問答無用で見に行ってきました。

『エウクス(馬)』の主人公は、6頭の馬の目をくりぬいた少年。

この少年が、ある精神科医のもとにやってきて、精神分析の治療を受けるという設定のもとに、観客は精神科医とともに、彼の経験をたどっていくのです。

「キリスト教の信仰心のある母親」と、そのような信仰を否定する父親。そこに、ギリシャ神話的なイメージをもつ馬が介入してきて、それらの関係に精神的に動揺する主人公という図式が成り立ちそうだなとは思いましたが、筋としては、すっきりしない印象。

ただし、古代宗教とキリスト教との対立が背景にあるような気がしました。

それから、今、精神分析学を授業で話しており、また私自身、自分の精神分析を何度も行っていることもあって、正直、シェーファーによる主人公の精神分析の過程も描き方が、若干弱い感じを受けました。

しかし、舞台は、昭明の見事さと、劇団四季の俳優陣の身体技能の優秀さなどもあいまって、なんらかの感銘を受けたようです。

自宅に帰ってから、シェーファーの別の作品『ザ・ロイヤル・ハント・オブ・ザ・サン』(なんと、映画監督の故 伊丹十三の翻訳)を読んでしまいました。

この戯曲は、黄金のインカ帝国が、スペイン人に侵略され、滅ぼされていく過程で、スペイン人の信仰するキリスト教と、インカの人々の太陽神信仰との対立が鮮明に浮き上がってくるしかけになっています。

この本を読んで、改めて、シェーファーの関心のひとつは、古代宗教とキリスト教との対立なのではないかと思った次第です。

それから、この戯曲も、いったん読み始めたら、先が気になってとまらないものでした。

これもシェーファーの力量のうちなのでしょう。

そういえば、シェーファーは、今から約1ヶ月前の2016年6月6日に亡くなられています。御冥福をお祈りいたします。

2016/07/11

これはオススメ! バーナード・ショー『人と超人』

先日、イギリスのナショナル・シアターのライブ中継で、ジョージ・バーナード・ショーの『人と超人』を観てきました。

上映時間は休憩も入れて、3時間50分!

あまりにも長いので、「なんだか行きたくないな~、ちょっと億劫だなあ~」とぐずぐずしていたのですが、現代演劇の名作101本の中に入る戯曲とあって、思い切って出かけたところ!

これが大当たり

まずは俳優陣。

とくに『イングリッシュ・ペイシェント』のラズロ・アルマシー役や、ハリー・ポッター・シリーズのヴェルデモート役で有名なレイフ・ファインズが、膨大なセリフ量をものともせず、みごとな間合いで、完璧に演じ切っていて、拍手!

さらには、この戯曲、タイトルからかもし出された最初の印象とは異なり、本当にびっくりしたことに、コメディで、恋愛物、だけど、限りなく理屈っぽくて、そのおもしろさにまた拍手!!

登場人物たちに、相反する理念を語らせ、たたかわせながら、どちらの立場の主張も相対化してしまうショーの力量にとても感心しました。

あまりにも興奮したためか、自宅に帰るや、ショーに関するいろいろなコメントを本棚から引っ張り出して、読みあさってしまいました。

とくに、心に残ったのが、ショーを評したチェスタトンの『ジョージ・バーナード・ショー』の、以下の一節です。

最初は一見崇高な調子で始めながら、後になって一転滑稽に転落させる劇作法をとったのである。主人公(中略)は、最初はいかにも英雄的に登場しながら、後ではみなの笑いものになる。

上記は、ショーの別の戯曲『武器と人』を論じた箇所に書いてあったものなのですが、まさにこの部分は『人と超人』の主人公にもあてはまっていると思います。

こういう鋭い批評を読んでいると、すごーく刺激されるのと同時に、なんだかうれしくなってきます。                           

ところで、私が演劇で、これは観た方がいいかな、観なくてもいいかな、と迷っている時にひもとくのは、岩淵達治編の『現代演劇101物語』(新書館)

ショーの『人と超人』もこの中で取り上げられている戯曲なのです。

この本に出てくる戯曲は極力観るように心がけていますが、名作101本の戯曲のうち、20年かけて見終わったものは、まだ半数に達していないという有り様。

ショーの『人と超人』もろとも、オススメです!

2016/07/07

ヒンジ

みなさん、ヒンジって知ってますか?

私も今回初めて知ったのですが、日本語に翻訳すると「蝶番(ちょうつがい)」のことなのです。

実は、私のマッキントッシュのデスクトップ・パソコンが、朝起きたら、しおれた花のように、前にぐったりうなだれていて、どんなに起こしても、すぐにぐったりしてしまうので、マックのカスタマーサービスに電話をしたのです。

そうしたら、「それはパソコンを支える土台部分と、パソコンの画面とをつなぐ『ヒンジ』の故障です」と言われました。

電話を切った後、思わず辞書でヒンジを調べてしまいました。

ちなみに、捨てずにとっておいたパソコンの箱を用意していたのですが、ひきとりに来てくれた業者さんはなにやらスーツケースのようなものを持ってきて、それをがばっと開けると、中にはすでにパソコンの形にくり抜かれたシートがありました。

パソコンは、そこにすぽっと入りました。

あのケースがあれば、パソコンは絶対に傷つかないだろうと思わせるほどの逸品。

今回の修理は3日で済み、しかも初期不良ということで無料で、画面もピカピカに磨かれて返ってきたので、いろいろな意味で、お得な気分を味わいました。

2016/07/05

最後の親知らずが生えてきて。。。

親知らず。

親知らずなど、一度も生えたことがない人もいるというのに、私は、苦しめられました。

右上⇒左上⇒左下の順番でぐるっと生えまわり、その都度、抜歯の痛みをもたらしてきましたが、今は最後の4本目である右下が生えてきています。

正直、歯肉炎になってしまって、たいへん痛いです。

「あーあ、これでは最後の1本も抜くことになりそうだなぁ」、とぼんやり考えていたら、私の実家の方では、「上の乳歯を抜いたら、縁側の下にその歯を投げなければならない。下の乳歯を抜いたら、屋根の上に向かってその歯を投げなければならない」という迷信があったことを思い出しました。

そういえば、この迷信と多少似ているのかもしれないのですが、古代ギリシャのテバイの建国神話の中にも「歯」が出てきます。

後のテバイになる地で、カドモスは、自分の従者たちを食い殺した竜を退治し、軍神アテナの助言にしたがって、そこに竜の歯を播くのですね。

そうすると、武具をまとった戦士たちがあらわれ、互いに殺し合います。

そして、戦士たちが最後の5人になったところで、カドモスは姿をあらわして、彼らに自分の家来になるよう命令をすると、5人の戦士たちはそれに従って、それぞれ、テバイの最も古い家の始祖になったという話です。

たしかに、尖っていて、鋭くて、固い物を砕く「歯」というものを擬人化すると、イメージとしては、「武具をまとった戦士」になるでしょうか。

さらには、歯は根っこを持つ存在なので、大地と結びつくのかもしれません。

そういえば、子供の頃、両親の抜歯後の歯を見せてもらったことがありますが、根っこの部分がマンドラゴラのようで、とても恐ろしく感じたものです。

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