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2016/08/05

女教皇ヨハンナ

今日は、いただいた本の紹介をしたいと思います。

もうだいぶ前(かれこれ8ヶ月ほど前)の話になってしまったのですが、私の東大文学部COE時代の同僚研究員である藤崎衛(ふじさき まもる)さんと、エリック・シッケタンツさんから、訳書『女教皇ヨハンナ 伝説の伝記(バイオグラフィー)』(三元社刊)をいただきました。

ヨハンナ。

女性の教皇で、中世に存在したとされる人物です。

彼女をめぐっては、ドナ・W・クロスが『女教皇ヨハンナ』という小説を書いていて、ドイツでもベストセラーを記録し、映画化もされています。

今回の本は、このクロスの小説を梃子にして、ヨハンナについて書かれた史料、出産シーンを描いた写本などを丹念に追いながら、ヨハンナの伝説とそれをめぐる言説を描いています。

私がとくに興味深かったのは、(『クソマルの神話学』を書いた者としては当然の反応ですが)教皇が座る「糞便の椅子」。

なぜ聖なるものと穢れたものがセットになるのでしょうか。。。不思議です。

この本は、きちんとしているのに、面白い。しかし、とくに感心したのは、附録の史料に丁寧な注がついていて、初学者の便宜を図っていたこと(附録史料の翻訳には、もうお一人、森本光さんも参加されています)。

この本の翻訳にあたっては、複数の言語の能力と時代背景への注意力や目配せなどが必要となり、たいへんな労作だと思いました。

なのに、日本語がとても読みやすいのです。

ちなみに、かつて、『芸術新潮』の仕事をしたとき、ドイツ出身のエリックさんに、ヨーロッパ(とくにドイツ)での神話教育について教えてもらったことがありました。

残念ながら、その記事は紙幅の都合でカットされてしまい、そのときは、エリックさんを紹介できなかったのが、とても残念でした。

遅ればせながら、今回、藤崎さんとエリックさんを紹介できて、とてもうれしいです。

興味のある方は是非読んでみてください。

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