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2016/08/10

アランとシモーヌ・ヴェイユの思考法

田辺保氏の『シモーヌ・ヴェイユ』(講談社現代新書)をながめていたところ、ヴェイユの思考の仕方や記述の方法がとても参考になったので、記しておきます。

ヴェイユの師は、アランという筆名で有名な哲学者のエミール・シャルチェですが、彼女はその師アランから、次のような方法を教わったということです。

一つめ。

一流の哲学者の本を読み、「もっとも有益な実質を直接引き出してくる」こと。

そのためには、その哲学者の本を「1ページずつばらし、まっ白な大きい紙にはりつけなおして、その余白に読書ノートを書きとめる」。

「紙は大きければ大きいほどよい」。

なぜなら、「何も書かれていない純白の空間は、精神の集中と傾倒を否応なく強いるから」。

二つめ。

「スタンダールにならって少なくとも日に二時間はものを書くように。また、書いたものを消したり、訂正したりしないように」。

なぜなら、「『書く』という作業は、思考を強い、そして、訂正せずに文章をつづるという訓練は、思考の明快な流れを持続させて行く努力を要求する」から。

この教えを忠実に守った結果、ヴェイユは、「すべてにぬきんでたスピノザの注解」(アランによるコメント)をなしとげ、「過酷な工場生活のさ中にも、頭痛にうちひしがれているあいだにも」「ペンをとって自分の思索を紙上に書きとめるという作業を中止しなかった」ということです。

ちなみに、ヴェイユの師であるアランの『プロポ』(みすず書房)は、「二枚の便箋に、訂正なしで一気呵成に」、30年にわたって書き続けられたものだという解説が、みすず書房のホームページ上にありました。

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