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2017/02/06

情報処理技術としての読書法:速読/遅読、多読/精読(2)

前回のエントリでは、明治末ごろに、「成功」するためには「現代」に即した「読書法」が必要であり、その「妙諦」は、「速読/遅読」もしくは「多読/精読」というような二項対立のうちの片方、もしくは両方ができるようになることだったらしいことが、雑誌『成功』の臨時増刊号である『現代読書法』からうかがえる旨を記しました。

たとえば、『現代読書法』の最初に出てくる戸水寬人(とみず ひろんど)。

彼は、今でいう東大法科の教授で、いわゆる大学の自治、言論の自由の観念のさきがけとなった事件を引き起こした人物として有名です。

その事件を要約しますと、日露戦争前、戸水は「バイカルまで奪え」とロシアに対する強硬論を張り、政府と対立した結果、政府が彼を休職処分にしたのですが、それに反発した東大の教授陣が総辞職を宣言、ついには文部大臣が辞職し、戸水は復職したという出来事がありました。

この事件で有名な戸水が、幸田露伴、夏目漱石、島村抱月らをおさえて、『現代読書法』という特集号の一番最初に掲載されているのですね。

そして、興味深いのは、この記事の中で、戸水が「読書法の秘鑰(ひやく=「神秘を明らかにする手がかり」のこと)を握」ったも同然として推奨している方法が、「速読/遅読」もしくは「多読/精読」の枠組みでとらえられる方法なのです。

具体的にいいますと、戸水は、書籍には3種類あるといいます。

第1の書籍は、「多大の労力と時間とをかけて熟読精読し、其間(そのかん)沈思黙考して書中のものを直ちに我ものに同化しつつ読行(よみゆ)くもの」。

第2の書籍は、「稍(やや)些(すこ)しの時間を費(ついや)し些(すこ)しく精読すべき書」。

第3の書籍は、「十行倶(とも)に下る底の快速力を以てし、一書を読むこと左乍(なが)ら大河を決して一時に下らしむる如きの勢を以て速読すべき書」。

そして、戸水は、まずは読もうとする本がこの3種類の書籍のどれにあたるのかを区別して、この3つの態度を使い分けて読んでいくという「妙理」を用いるならば、読書法の真理を握ったことになる、と書いています。

戸水は、読書法として上記の3種類を挙げていますが、要は本の種類、情報の性格によって、「速読/遅読」もしくは「多読/精読」を使い分けろ、ということになります。

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