カテゴリー「へるめす通信」の51件の記事

2013/07/03

へるめす通信51

—(ジョルジュの孫)で、ここのところが不思議といえば不思議なんだけど、アポロンがヘルメスに与えるものをヘルメスに伝える前に、ヘルメスの方から、アポロンに向かって、自分のつくった竪琴をあげましょう、って言うのよね。その代わりに、アポロンの牛をちょうだいって、ね。

—(村人A)うは! ちゃっかりしてる!! さすが。

—(ジョルジュの孫)「ちょうだい」というか、正確にはこう。「竪琴はあなた、すなわちアポロン様に差し上げます。僕の方では、牛にエサを与えます」ってね。

—(村人A)ぷぷっ。それって、ぶっちゃけ、「牛をくれ」ってことですよね。

—(ジョルジュの孫)そうそう。

—(村人A)なるほど、うまい言い方だな。

—(ジョルジュの孫)それだけじゃないのよね。ヘルメスはアポロンにこう付け加えるのを忘れないの。「きっと、牡牛と牝牛が、子供の牛をたくさん作ってくれますよ。だけど、アポロン様、自分の方が儲けが少ないって、怒らないでくださいね」ってね。アポロンに、念を押してるのよ。

—(村人A)うはー、さすがすぎる。それで、どうなったんですか。

—(ジョルジュの孫)それで、ヘルメスはアポロンに竪琴を差し出し、アポロンはヘルメスに、牛追いの鞭を差し出し、お互いに受け取ったというわけ。

—(村人A)なるほどねー。つまり、お互いがお互いの持ち物を交換しあった、という……

—(ジョルジュの孫)そこよ!!

—(村人A)はい? なんすか、いきなり、びっくりするなあ、もう!

—(ジョルジュの孫)そこなのよ!

—(村人A)はい? もしもーし、大丈夫っすかあ? なんか、「そこ」「そこ」言ってるけど、あっしにはさっぱり意味不明。

—(ジョルジュの孫)だーかーらー、そこ、そこ、それなのよ!! やっぱり、先生が良いと、ホントに生徒の力の伸びが違うわね。自分で自分を誉めたいわ!

—(村人A)だーかーらー、意味不明だって言ってるんすよ。何が「そこ」で、何が「誉めたい」んだか、ちっともわかりまへん、ってば。いたいけな生徒が質問しているんですから、あーたも、へっぽことはいえ、教師として応えなさいってば。

—(ジョルジュの孫)うーん、あんた、いいこと言うわね。そこなのよ、「交換」なのよ、「交換」。

—(村人A)はい? まったく、もう。何が何だか、さっぱり……。

—(ジョルジュの孫)だから、つまり……。

2013/06/20

へるめす通信50

—(ジョルジュの孫)アポロンは、ヘルメスに向かって、「キミとキミのお母さんは、神々の間で名声を得るだろう。僕はキミに贈り物をし、そして、絶対にだまさない」って言うのよね。

—(村人A)ワーオ! なんかよくわからないけど、すごそーっすね。

—(ジョルジュの孫)どこがわからんのよ?

—(村人A)エ? うーん、と、そうだなあ、「神々の間で名声を得る」ってところかな。何すか、それ?

—(ジョルジュの孫)要するに、ヘルメスはオリュンポス山に住む12柱の神々、通称「オリュンポス12神」に迎えられたというわけ。

ギリシア神話の中で、神々の住処があったと考えられているのが、オリュンポスという山で、そのてっぺんに最高神ゼウスの宮殿があったと言われているの。

—(村人A)へー、ほー。

—(ジョルジュの孫)このあたりの地理が知りたい場合は、子供向けの本なんだけど、『図解 古代ギリシア』(東京書籍)がとってもよいから、読んでみたら? おすすめよ!

—(村人A)ふむふむ。……、あっしでも読めそう。

—(ジョルジュの孫)そこなのよ。それでいて、中身が濃いのよね。で、話を元に戻すと、ゼウスの宮殿で、神々は饗宴に次ぐ、饗宴の毎日を送っているとみなされているのよね。

—(村人A)毎日! いや、マジで、うらやましい。

—(ジョルジュの孫)毎日は飽きるかもよ。それで、そこにいるのは、ゼウスとその兄弟姉妹だといわれているの。

—(村人A)それが12柱いる、と。ちなみに、誰っすか?

—(ジョルジュの孫)あのね、名前を並べると、つーまんないけど……。いい?

—(村人A)……、わかりやした。覚悟の上だす。

—(ジョルジュの孫)じゃ、いくわよ。ゼウス、ヘラ、ポセイドン、アテナ、アプロディテ、アルテミス、アポロン、そしてヘルメス、さらにはアレス、ヘパイストス、デメテル、ヘスティア(またはディオニュソス)。

こらー、寝るな!!

—(村人A)ハッ! とっても心地良いお経のような趣で、つい……。

—(ジョルジュの孫)あんたの覚悟は、楊枝よりも折れやすいのね。毎度毎度、感心するのは、あんたのその寝付きの良さよ。早すぎる。

—(村人A)にゃは! それほどでも。照れるな。

—(ジョルジュの孫)はあーー。嫌みを言われているのに気づかんのか。。。

—(村人A)わかってますよ。オリュンポス12神に、しっかりアポロンもヘルメスも入っているんでしょ。ブラボーじゃないっすか。

—(ジョルジュの孫)ブラボー、ね。

—(村人A)ブラボーっすよ。そして、アポロンは、ヘルメスに贈り物をあげると約束した。

—(ジョルジュの孫)驚いた。あんた、覚えてたのね。意外に……。

—(村人A)賢い、って言うんでしょ。

2013/06/17

へるめす通信49

—(ジョルジュの孫)で、アポロンは、ヘルメスのひいた竪琴の音色に、すっかりメロメロになっちゃったの。オリュンポスの神々も、音楽をつかさどる九人の女神ムーサたちも、いまだかつて出したことのない音色だ、って言ってね。

—(村人A)へー、そんなにすごい音だったんですか。ヘルメスの竪琴は。

—(ジョルジュの孫)そうみたい。ま、自分ちの洞窟の前をはっていた亀をぐさっと殺(や)って作った、ヘルメル・オリジナルの楽器だもの。聞いたことのない、初めての音色だといわれれば、それはそうよね。

—(村人A)すごーい、ヘルメス。ドクター中松も真っ青!

—(ジョルジュの孫)そっちか、キミの基準は。ふつうはエジソンが出てくるんじゃないの? エジソンは蓄音機を発明しているし。それを初めて聞いた人たちは、アポロン同様、びっくりしたんだといえば、キミの株が急上昇するわけなんだけど?

—(村人A)いえいえ、あっしはドクター中松にこだわりたいですよ。なんたって、ドクター中松は、フライングシューズという名前のぴょんぴょん飛ぶ靴を発明しているじゃないですか。ヘルメスみたいでしょ?

—(ジョルジュの孫)なるほどね! 最近、あんたがヤケに賢く見えてきたわ。きっと、目の錯覚ね。

—(村人A)老眼のはじまりですよ。そろそろ気をつけたほうが……。

—(ジョルジュの孫)シャラーーープ3!!! 誰が老眼じゃい! 縁起でもない。

—(村人A)……ったく、心配してあげるとこれだもんね。まったく損ですよ。ホント、あーたに情けは無用ですっ!

それで、アポロンとヘルメスは仲良しこよしになったのですね。

—(ジョルジュの孫)そうなんだけど、その前に……。

2013/06/13

へるめす通信48

—(ジョルジュの孫)で、ヘルメスは、アポロンをなぐさめるために、自分で作った竪琴をちょびっとだけ、弾いてみせたのよ。

—(村人A)あれ、ま! ケンカしてたんじゃなかったんですかい? ヘルメスってばアポロンにほめられて、気をよくしちゃったわけですね。

—(ジョルジュの孫)うーん、気をよくしたとは、原文に書かれていないので、わからないのよね。

ま、とにかく、竪琴を弾いたら、アポロンはものすごーく悦んで、笑い出したの。それから、ヘルメスは、アポロンの隣で、竪琴を弾きながら、歌をうたうのよ。

そしたら、アポロンは、「そんな音は、はじめて聞いた」ってまたもびっくりするのよね。

—(村人A)歌? うた、ウタ、UTA! ヘルメスが?

—(ジョルジュの孫)そう、ヘルメスが。

—(村人A)えー、なんか、変だなあ。ヘルメスらしくないっていうか。。

—(ジョルジュの孫)どうしてよ?

—(村人A)つまりですよ、歌を歌うことを好む人って、あっしにとっちゃ、なんとなく繊細な感じがするんですよね。

ほら、体育会系と文化会系って分類があるじゃないですか。歌を歌うってことは、まさに文化会系ですよね。

ところが、ヘルメスは赤ん坊なのに力持ちで、牛2頭をたやすく殺してアポロンをびっくりさせたりしているわけでしょ。つまり、体育会系のイメージがあるわけですよ。だから、なんとなく歌を歌うことは共存しないっていうか、……。

つまり、音楽というのは、アポロンみたいな美青年に似合う感じで、ヘルメスのキャラじゃないっていうか……。

—(ジョルジュの孫)なるほどねー、あんたも成長したわね〜。わたしゃ、少し感動しておるよ。なかなか鋭い指摘をするじゃない。やっぱ、この目を見張るような成長っぷりは、教える人が良いからよね〜。 

—(村人A)は? なんですと?

—(ジョルジュの孫)だーかーらー、教える人がエクセレントってこと。

—(村人A)バキっ!!

—(ジョルジュの孫)なに? その、「バキっ!!」ってセリフは?

—(村人A)あっしが固まった音を擬態語として表現してみただけですよ。

……も、疲れたので、先に行っちゃって下さい。

—(ジョルジュの孫)やった! 私は勝った! 勝った!! 勝ったのだ〜!!

といって騒いだのは、日本神話のスサノオなんだけど、ここで、あんたに勝ちを宣言しても大人げない気がするから、先に行くわ。

2013/05/31

へるめす通信47

—(ジョルジュの孫)ヘルメスはね、洞窟の中にかくしておいた牛を、外に出すのよ。

—(村人A)へー。さすがのヘルメスも観念したってことですかい?

—(ジョルジュの孫)ま、そうかもね。だけどね、アポロンは、そっちの元気満々な牛たちよりも、近くの岩にはりついていた、ヘルメスがバーベキューにしちゃった2頭の牛の皮のほうに目が行くのよね。

なんでだと思う?

—(村人A)はい、はい、はーい。わかったぁ、わかりやした! 

アポロンは、2頭の牛さんたちのこと、日光浴しすぎて皮がむけちゃったと思ったじゃないでしょうか?

だから、この次は、皮1枚はがれた丸裸の牛さんたちを探そうと思いめぐらしていた、とか?

—(ジョルジュの孫)……、はい?

—(村人A)あれ? なんか、目つきが悪くなっちゃって……。

あっと、じゃ、これだ! 

アポロンは、夏休みの宿題に、牛さんたちの脱皮の観察日記を書こうと思いついた!

—(ジョルジュの孫)あのね、どこのどいつが、アポロンに夏休みの宿題を出すのよ?

だいたいアポロンに夏休みがあるってのかい!

—(村人A)えーっ、ないの? 神様に夏休みはないの? そんなの残酷ですよ。さみしーよぉ。。。夏休みだけが唯一の心のオアシスなのに……。

—(ジョルジュの孫)…… いや、そういう問題じゃなくて、……うーん、まぁ、確かに、神様は毎日が夏休みの気もするけど……。しかし、いったい、どこからそういう発想が出てくるんだろう。。。いや、そうじゃなくて、……。

—(村人A)むひひひひ。あっしの鋭い解答に、あーたの硬直化した思考が攪乱されていますね。

—(ジョルジュの孫)………?

—(村人A)にゃは! じゃ、これならドーダ。アポロンは、牛の皮フェチだった! だから、自然と、牛の皮に目が行ってしまったのだ!

ほら、ほら、ぼけているように見えて、あっしはあーたのへたくそな授業をちゃーんと聞いているわけですよ。当たってるでしょ?

—(ジョルジュの孫)……あのね、アポロンは単純に、赤ちゃんのヘルメスがどうやったら、こんな大きな牛2頭を殺したのかって、びっくりしただけなんだけど。

—(村人A)はい? たった、それだけ?

—(ジョルジュの孫)「たった、それだけ?」とは何よ。ひどい言いぐさ。

あのね、ここでアポロンはヘルメスに感心したわけよ。

自分を驚かせた赤ん坊に対して「あっぱれ! ナーイス!! エクセレント!!!」って感じだったんじゃないの? 

だから、お前はこれ以降、大きくなったらダメだとも言うのよね。

—(村人A)アポロンもさすが、ゼウスの息子ってオチですね! みんな、大物っぷりを発揮してまっせ!

2013/05/22

へるめす通信46

—(ジョルジュの孫)てなことで、話をもとに戻すと、ヘルメスは、アポロンにひったてられて、お父さんのゼウスの前に連れて行かれて、そこで、なんと自分の産着を手に持ちながらも、堂々としらばっくれたわけ。

—(村人A)産着を手に! ヘルメスはホントに赤ちゃんなんだ。将来有望な大物っすね〜。

—(ジョルジュの孫)ま、神様に「将来有望」とか、「大物」とかって言うのもナンだけど、確かに大物よね。

 それで、大物といえば、さすがにヘルメスの父親、神々の王ゼウスも大物なのよね。なんと、ゼウスは、いたいけな見かけから繰り出される巧みな弁舌を聞いて、怒るどころか、大声で笑っちゃったんだから〜〜。

—(村人A)えー、笑った? さすが! 余裕!! 太っ腹っすね。なんつうか、それだけで、神々の王の余裕が感じられますよ。『ゼウスに学ぶ帝王学』『ゼウスに学ぶ社員教育』なんて本を書いてくれないかな?

—(ジョルジュの孫)というか、すでにあるかも? だけどね、ゼウスはそれだけじゃないの。次に出した命令も、なかなかのものよ。

「アポロンよ、ヘルメスよ、ふたりとも、心を一つにして、牛を見つけよ。そして、ヘルメスよ、牛を隠した場所にアポロンを案内しなさい。どちらも遺恨を残さないように」ってね。

—(村人A)うひゃー! できた人じゃないですか、ゼウスって。

—(ジョルジュの孫)これくらいじゃなくちゃ、父殺しあり、近親相姦ありの、どーろどろなギリシア神話世界は統治できまへん! 

 まあ、ゼウスの場合、もう少し、奥さん教育をすべきだったと思うけど。

—(村人A)有名なヘラのやきもちですね。

—(ジョルジュの孫)そう、そう。あんたもだんだんギリシア神話に詳しくなってきたじゃない。

—(村人A)お褒めいただき、光栄です。

—(ジョルジュの孫)あら。素直。ちょっと気持ち悪!

—(村人A)なんすか、ちょ、失礼。早く連載を終わらせてあげようと思っている親心なのに。

—(ジョルジュの孫)いやー、どうも、あんたが素直だと、裏になんかあるような気がしてしまって。。。

—(村人A)なんにも、ないっすよ! あっしも、一生懸命、勉強したんですよ、『神々のからさわぎ 世界の神話編』って本を読んで。

—(ジョルジュの孫)それは、漫画! っていうか、私が監修したやつ! なんだ、買ってくれたのね。どうも、ありがとう!!

—(村人A)いーえ、あっしは図書館で借りましたが……?

—(ジョルジュの孫)あんた、これだけ私に迷惑かけてるんだから、フツー買うよね?

—(村人A)いーえ、あっしはあーたに何の迷惑もかけちゃいませんよ。人聞きの悪い。

  それよか、ひねくれ者のヘルメスはゼウスに素直に従ったんですか? 今回もまたごねたとか?

—(ジョルジュの孫)いんや! さすがにお父さんの命令には従ったのよね。ヘルメスはバーベキューをしたところまで、アポロンを連れていくの。

2013/04/28

へるめす通信45

—(ジョルジュの孫)生前は知のトリックスターと言われ、お葬式の時、お棺の中で、足にヘルメスの羽をつけていたという噂の、現代日本版ヘルメス、 かの山口昌男センセイは、『道化の民俗学』(岩波現代文庫)の中で、ヘルメスについて、こう言ってるの。

「小にして大、幼にして成熟という相反するものの合一」って。

要は、ヘルメスは、矛盾を生きている存在なの。

—(村人A)ワオ、かっこいい! あっしもさしずめ、それですね。かっこいいのに、親しみやすい。ホントは賢いのに、そんなこと、微塵も感じさせないお茶目な性格。それって、「矛盾するものの合一」でしょ?

—(ジョルジュの孫)あ・の・ね。。。

—(村人A)いいの、いいの、あーたにわざわざ言われなくたって、自分のことは、よーくわかっているので。

 ところで、現代版ヘルメスの山口センセイは、ヘルメスと同じで、やっぱり「口の減らない、悪ガキ」だったんですか?

—(ジョルジュの孫)まあね。そういえば、 東大の駒場キャンパスでやっていた文化人類学会に、 センセイと二人で一緒に行ったことがあったのよ。

まだセンセイは入院する前だったので、私がセンセイの車椅子を押して、ね。

—(村人A)あーたも時にはいいことするじゃないですか。

—(ジョルジュの孫)「時には」は余計よ!

そしたら、後日、センセイの自宅に、学会に来ていた研究者数名から、電話がかかってきたらしいの。

「センセイの車椅子を押していた、キレイな、女性は誰ですか? 息子さんのお嫁さんですか?」

って。

—(村人A)「キレイな女性」の箇所は、あーたの作り話でしょ?! いけませんよ、そんなこと、しちゃ! しかも、文字まで大きくして。

—(ジョルジュの孫)うるさ! あのね、その話はね、センセイのご自宅の居間で、センセイと奥様がいるところで、奥様から聞いたのよ。それで、私は、こう言ったの。

「あらー、センセイ、さすがはみなさん、人類学者! 人を見る目がありますね。なかなかいいセン、いっているじゃないですか」って。

—(村人A)ほう、ほう。なるほど。

—(ジョルジュの孫)そしたら、センセイはこう答えたの。

「あなたが僕の若いツバメに見えないのは、あなたに色気がないからだ!」

—(村人A)ぎゃーー、はっ、はっ、はっ、はっ!! 

もうだめ、お腹痛い! センセイ、ホントのこと言っちゃ、だめですよ。

すごい、当たってる! 鋭すぎ!! おかしすぎ!!! 

さすがは、山口昌男!!!! 尊敬〜〜

—(ジョルジュの孫)あんた、受けすぎよ!!!

私の血管は、あの時、最低3本は切れたわ。

だけど、後から考えると、「若いツバメ」ってのは、年上の女の人の愛人となっている若い男性のことを言うのよね。その時は、ムカっとしていたので、表現がおかしいことに、気づかなかったわ。

あーあ、あの時、反撃しとけばよかったなぁ。

—(村人A)おもしろい話っすね〜。

—(ジョルジュの孫)そんな話なら、掃いて捨てるほど、あるわよ。 ホント、山口センセイは、ヘルメス張りの「口の減らない悪ガキ」よ。

2013/04/15

へるめす通信44

—(ジョルジュの孫)牛たちはヘルメスによって途中の小屋に入れられて、そのうちの2頭は小屋の外に出されて、ジュージュー焼き肉にされちゃったの。

—(村人A)それって、バーベキューの起源ですか?

—(ジョルジュの孫)ばーべきゅー? 

ああ、まあ、そうかもしれないわね。だって、ヘルメスは、肉をわざわざ木の串に刺してから、焼いてるんだもの。

それから、肉を焼くのに使った火と火起こし棒は、ヘルメスによって、この時、初めて世界にあらわれたって書かれているのよね。

—(村人A)すごーい、ヘルメス。

それと、うまそー。うらやましい。

あーたもあっしに焼き肉くらいごちそうしたって、バチは当たらないと……。

—(ジョルジュの孫) シャラーープ2! あのね、ヘルメスは結局その肉は食べなかったの。

—(村人A)な、なんで?!

—(ジョルジュの孫)ヘルメスは、肉から串を抜いて、その肉を石に盛って、12片に切り分けて、そして、神々に捧げたの。

だけど、あまりにもおいしそうな匂いに、ヘルメスはくらっとして、思わずパクッとやりたくなったらしい。

—(村人A)わかるなー。うん、うん。串から抜いた時にこぼれおちる肉汁ったら、たまりませんよ! あうっ!! カルビですかね、王道は?

—(ジョルジュの孫)うーん、牛タンネギ塩も捨てがたい……。って、ここは焼き肉談義の場所じゃないの! 

要するに、ヘルメスは、確かに自分の家に牛を連れて帰ってはいないわけ。だから、ヘルメスは噓はついていないのっ!!

—(村人A)ううっ。口の減らない、悪ガキっ!

—(ジョルジュの孫)それなのよね。ヘルメスの特徴は。

2013/04/10

へるめす通信43

—(村人A)はーい、じゃ、考えてみまーす。えっと、しらばっくれていながら、噓じゃない言い訳。しらばってくれていながら、噓じゃない言い訳、っと……。

え? それって、矛盾してるじゃないですか?

—(ジョルジュの孫)おー、なかなかいいところに気づいたじゃない! どういう矛盾なのよ?

—(村人A)だって、しらばっくれるということは、ヘルメスは噓をついているってことですよね。

—(ジョルジュの孫)そう、そう。

—(村人A)噓をついているのに、噓じゃない。それって、矛盾じゃないですか。

—(ジョルジュの孫)いいところに気づいたじゃない。

—(村人A)そこなんですよ。あっしは、こんなふうに、いつもすこーし考えるだけで、コトの本質を突いてしまうんですよ。この前も、……。

—(ジョルジュの孫)うるさーい。あんたのそのダラダラ話はもう、いい! 不要!! 却下!!! シャラーップ!!!!

—(村人A)ひどーい。

—(ジョルジュの孫)いいから。それで具体的にはどういう言い訳だと思うのさ。矛盾が成立している言い訳って。

—(村人A)えーっと、うーっと、んー、噓をついているのに噓じゃない言い訳、ですよね。つまり、ヘルメスは牛を盗んだ。それは事実ですよね?

—(ジョルジュの孫)そう。

—(村人A)だけど、牛を盗んじゃいませんといって、それが噓にならないってことですよね? そんな言い訳って、あり?

—(ジョルジュの孫)あるのよね。で、なんて言ったのさ。わかんないの? 考えつかないの? 教えてほしいか? そらそら。

—(村人A)悪魔!

—(ジョルジュの孫)にひゃ、ひゃ、ひゃ。楽しいな、ったら。あのね、キリスト教世界でいう悪魔ってのはね、民間伝承の神々や妖精たちのことなのよ。もともとの土着の信仰の神々が、キリスト教の布教にともなって、次第にキリスト教的な神と相対する悪魔となっていったのよ。つまりだ、私は妖精なのね、あなたにとって。うふ。

—(村人A)性格わるーい。おめでたすぎー。しんじらんなーい。

—(ジョルジュの孫)あんたって、いじめ甲斐があるゥ。

ま、いいや。あのね、ヘルメスはね、こう言ったのよ。「僕は牛を自分の家には連れて来てないもん。本当だもん」、って。

—(村人A)はい? 「牛を自分の家には連れてきてない?」

—(ジョルジュの孫)そうなのよ。そして、それは本当なの。

2013/04/09

へるめす通信42

—(ジョルジュの孫)ヘルメスは、ゼウスの前で、予想通り、お得意のしらばっくれをするの。

—(村人A)いきなり来ないでくださいよ!! いったいぜんたい、いつの話ですかい。まだ、やろうっていうんですか、その話を。

……ま、いいですよ、つきあってあげますよ。えーっと、ヘルメスがゼウスの前で何をしたかってことでしたよね?

それが、しらばっくれ? やっぱりね!! 性格ってのはなかなか変わらないってことですね!! しらばっくれなんて、ワンパターンだぞ、ヘルメスちゃん!!

—(ジョルジュの孫)むひひひ。む・ら・び・と、えーくん。だから、きみは単純なのだよ。コトはそう簡単ではない!

—(村人A)むっ。なんですか。太古の昔にしてたこの連載。もうないと思って、良い気持ちで昼寝していたのに、あっしは、むりやり起こされて、連れ戻されて、記憶の底の底をさらって、はかなく散り果てた記憶の断片を一生懸命かき集めて、そんなこともあったなと思い出して、仕方がないから、一緒にノってあげたというのに! この恩知らず。

—(ジョルジュの孫)確かにね。最近、私のまわりのいろいろなところに、恩知らずが増えているのよね。深刻な話よね。

—(村人A)じゃなくって、あーた自身が恩知らずなんだって。

—(ジョルジュの孫)あーら、そうだったかしら? そんな覚え、全然ないけど。

—(村人A)だーかーらー、ええい(と言いながら、頭をかきむしる)。

—(ジョルジュの孫)だんだん思い出してきたわ。このペース。やっぱり、体にしみこんでいるのね。あんたとのやりとり。

—(村人A)あ・の・ねー。

—(ジョルジュの孫)うふふ。からかうのはこれくらいにして、話をもとに戻そうっと。ヘルメスはね、アポロンにひったてられて、お父さんのゼウスのところに連れていかれて、アポロンから「こいつが私の牛を盗んだですよ」って、責められるのね。

それに対して、ヘルメスは、お得意のしらばっくれをするんだけど、実は噓はついていないという絶妙な言い訳をするの。

—(村人A)えー? どんな?

—(ジョルジュの孫)当ててみそ。

—(村人A)「当ててみそ」の「みそ」はタイポじゃないんですか?

—(ジョルジュの孫)ちがーう。タイポじゃなーい。それにしても、あんた、タイプミスの業界用語、なんで知ってるの? 

—(村人A)だから、禁煙がきつくって。。

—(ジョルジュの孫)それは、パイポじゃ。禁煙パイポ。アホなギャグは相変わらず。。。いや、ともかく、「当ててみそ」でいいの。

—(村人A)……それ、どんなギャグですか?

—(ジョルジュの孫)それは……、そ、そんなことはいいから、先に進みなさい!

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